英王室と英連邦の将来に不安示すNW日本版のエリザベス女王特集

輝きが足りぬ新国王

記者の関心はイギリス王室の行方だ。「チャールズが国王となって、さて英王室はどこへ行くのか」と嘆息している。「あの女王を愛した国民が、女王の息子を同じように愛するとは思いにくい」と。「建築からアナグマの殺処分まで、さまざまな問題について自分の見解を表明してきた」チャールズ新国王には「母親ほどの輝きがない」のだ。

それは「英連邦」の在り方から「『連合王国』としてのイギリスの統一性を維持できるか」という問題にまで広がる。新国王を迎えて、記者ならずとも、王室、連合王国、英連邦の行く末に不安を感じる英国民は多いのだ。

在位70年の間に女王は世界中の首脳と会ってきた。同誌は続けてグラフを掲載している。チャーチル英首相、反りが合わなかったサッチャー首相、レーガン米大統領、そしてエリツィン露大統領、プーチン露大統領、さらに後に「無礼」だったと評した江沢民中国国家主席まで錚々(そうそう)たる要人たちとのショットだ。

昭和天皇の写真なし

ここに昭和天皇との写真がない。同誌のストックになかったのか、大陸を挟んで東と西に君臨した島国の君主の会合はこの特集に載せる価値はなかったと判断したのか、残念である。

ネット版デイリー新潮が9月14日配信でエピソードを紹介している。1975年来日した時、女王は天皇に「君主とは難しいものですね」と語り掛けたという。女王の葬儀は19日行われ、英国は新しい時代に入る。

(岩崎 哲)