1ドル=140円台と24年ぶりの円安水準でも対策に言及しない日経

日銀の無策に乗るな

現在の円安・ドル高は、日米金利差の拡大が背景である。米連邦準備制度理事会(FRB)による大幅利上げが今後もしばらく続くとの見方が拡大。一方、日銀は大規模緩和を継続し、変更する意思を示していないから、金利差拡大を意識した円売り・ドル買いが加速しているのである。

目標としていた2%の物価上昇目標を既にクリアしているのに、日銀が現行の金融政策を変えないのは、賃金上昇を伴うものとなっていないためというのが、黒田東彦総裁が語る理由である。

そうだとしても、一気に政策金利を引き上げるのでなく、現在のマイナス短期金利、ゼロ長期金利を廃止し、大規模な量的緩和を段階的に減らすといった修正は可能なはずである。

日銀の無策に乗ったような日経の社説論評での円安阻止対策なしは、一般紙ならともかく経済紙としてどうなのか、物足りなさを禁じ得ない。唯一指摘した「家計の実質的な購買力の押し下げ効果」に対する対応策が全くないのも同様である。

東京は、内部留保を増やした大企業を中心に、政府と経済界が協力体制を組んで直ちに賃上げを断行すべきだと訴えた。

(床井明男)