容疑者への同情煽る
どうやら日本の一部メディアも「中国方式」で教団の撲滅を狙っているようだ。第一に、「危険なカルト」と決め付けていることだ。元来、非主流派の宗教や異端はカルト(邪教)と呼ばれたが、そもそもカルトの定義はない。中国では党がカルトと断定すればカルトとされるように、一部弁護士やメディアも教団を一方的にカルトと断じている。どうやら中国共産党と思考回路が同じようである。
第二に、テロを本気で非難せず、山上容疑者への同情論を煽り、反教団キャンペーンを張って信教の自由を奪おうとしていることだ。まさに環球時報が言う「(山上容疑者が)正義を追求するのを助け」「この宗教団体を撲滅」を地でいっている。中国共産党が行ってきた宗教弾圧を法治国家である日本国内で実行に移そうとしているとしか思えない。
作家の佐藤優氏は毎日20日付の書評欄で、政治と宗教の関係について論ずる際の基本書として『仏教の大東亜戦争』(鵜飼秀徳著、文春新書)を紹介し、「(戦前の反省に立って)戦後は国家が宗教団体の教義、人事、財務などに関与できないとする政教分離原則が確立した」とし、次のように指摘している。
「仏教の寺やキリスト教の教会が国家から独立して活動できるために重要なのは独自の経済的基盤を持つことだ。旧統一教会問題で宗教団体への献金に制限を設けようという主張をする政治家と有識者がいるが、そのような事態になれば憲法で保障された信教の自由が実質的に担保されなくなる。この点についてのマスメディアと有識者の感覚が鈍いことに評者は危惧を覚えている」
確信犯的「魔女狩り」
佐藤氏は鈍いと婉曲(えんきょく)に表現しているが、中国と気脈を通じている人士は確信犯だろう。彼らにとっては、「魔女狩り」なのである。
折しも毎日大阪本社版の19日付夕刊はスコットランドでの中世以降の「魔女狩り」を取り上げていた。同政府と国教会が「数百年後のざんげ」を行ったと報じ、記事は「魔女狩りが拡大した背景には、いわば『同調圧力』もあった」としている。
朝日や毎日などの左派メディアは銃撃犯への同情報道にうつつを抜かし、国民に教団糾弾の「同調圧力」をかけている。どう見ても「中国方式」による現代版魔女狩りである。
(増 記代司)



