ウクライナ戦争で置き去りにされた問題に焦点を当てたNW日本版

戦争犯罪で裁けるか

元米陸軍情報分析官のウィリアム・アーキン氏は「プーチンを戦犯として裁けるのか?」を問うている。プーチン露大統領を裁くべきだという人は多いかもしれない。理由は何よりもウクライナへの侵攻、具体的には非軍事施設への攻撃、その結果としての多数の市民の犠牲者、捕虜の虐待・拷問、民間人へのレイプ・拷問・殺人、等々で、この戦争を命じた最高司令官としての責任があるからだ。

アーキン氏は、「しかし厳密に公平を期すなら、そして物議を醸すことを覚悟で指摘させてもらえば」と断りながら、これら個別に特定された犯罪以外で、例えば民間施設への攻撃について、一律に戦争犯罪として裁けない可能性を指摘している。

▽ロシアの兵器の精度が低いか、技術的欠陥があって、実際は軍事施設を狙ったものの、運悪く近くの民間施設に着弾してしまった▽ショッピングセンターなどの民間施設をウクライナ軍が使用していて、ロシア軍は「確実な軍事的利益」を得るためにそこに攻撃を加えた、などのケースは「戦争犯罪」に問うことは難しいというのだ。

記事では触れていないが、ロシア側も同じようにロシアの視点に立ってウクライナの「戦争犯罪」を数え上げているはずで、停戦、終戦へ至る過程では幾つものデッドロックが待ち構えている。

新たな視点必要な時

この他に戦争によってたくましく変身した「元コメディアン」ゼレンスキー大統領を取り上げている。立場が人を変える典型だ。

戦争勃発から半年。忘れてはならず、また、新たな視点で見なければならない段階にもなってきている。当初の集中豪雨的な報道がやみ、見落としていた観点、あえて無視していた陥穽(かんせい)など、これから吟味の時間に入っていく。それは「旧統一教会」報道にも言えるものだ。

(岩崎 哲)