激減させた安倍政権
全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)が作成したもので、相談件数は06年の年間1200件をピークに下がり続け、13年以降は200件以下。記事は近年の相談件数は100件前後とするが、図表では21年はゼロに近い。これは驚いた。世間の騒ぎようと裏腹に霊感商法は現在、ほぼ存在しないのだ。
これは安倍政権の成果だろう。18年の消費者契約法改正で霊感商法は消費者契約の取消対象とされ、全国弁連に相談するまでもなくなった。教団も09年にコンプライアンス(法令順守)宣言をしている。それで相談件数は大幅に減少したのだろう。つまり正常化されている。実際、警察庁Webサイトの「生活経済事犯」(令和3年版)を見ても、教団に関わる検挙例は1件もなかった。
ところが、7月26日に開かれた日本共産党国会議員団の「旧統一協会問題追及チーム」の第2回会合では、全国弁連の紀藤正樹弁護士が霊感商法で1兆円超えの被害が出ているとし、「霊感商法の被害は憲政史上最大の消費者被害」と大風呂敷を広げている(同党機関紙「しんぶん赤旗」27日付電子版)。朝日記事の出所も全国弁連なのに数字が違い過ぎる。
推測を重ねた被害数
そのからくりはすぐに解けた。紀藤氏は1980年代以降の相談件数を約3万4千件とし、消費者相談の窓口が十分に機能しておらず、機能していれば実際の件数は10倍から100倍に上ると推測し、仮に10倍なら34万の被害があり、「その周りに家族もいることから、さらに3~4倍と考えればゆうに100万人以上の被害者が過去に綿々と見えない形で埋まっている」と推測に推測を重ね、憲政史上最大の被害を描き出している。100倍で計算すれば1000万人。国民の10人に1人が教団の被害者? あり得ない。こういうのを妄想と呼ぶ。
その尻馬に乗り朝日社説は霊感商法が「社会問題」だから自民党は教団と決別せよと説教を垂れ(3日付)、毎日社説は「犯罪的行為がとりざた」されているから関係を清算せよと迫っている(7月27日付)。
メディアが騒ぎ立てれば「社会問題」となり、「犯罪行為」があるかのように取り沙汰すれば、信教の自由は易々(やすやす)と壊される。それがまかり通れば、日本は暗黒社会だ。
とまれ霊感商法騒動は「鼠一匹」、いや1匹もいなかった。教団はそのお墨付きを朝日からもらった。安倍元首相と教団を貶(おとし)めるメディアの「妄想」こそ問われるべきだ。
(増 記代司)



