生まれる人数の減少
一方、驚きだったのは「長引くコロナ禍が社会に与えた影響」として、孤独を感じる人が増加し、結婚件数が減り、自殺者が増えたという研究データだ。昨年と比べて孤独を感じる人は男女ともすべての年代で増加。緊急事態宣言やまん延防止等重点措置などの行動制限が繰り返された一昨年と昨年の2年間で結婚数は約11万件少なくなったとみられ、将来的に生まれる子供は15万~20万人少なくなったという。
研究に携わった東京大学大学院准教授の仲田泰祐氏は、「孤独を感じる人々の増加とつながっている点として自殺者の増加がある。試算だとコロナ禍で7500人の超過自殺が発生していて、その半数以上は20代、30代の若者である」と述べた。その上で、「こういった社会経済に対する負の影響の数字が出ていることに危機意識を持つべきだ」と警鐘を鳴らした。
日本の緊急事態宣言、まん延防止等重点措置などの行動制限は、海外で行われた都市封鎖と比べれば緩やかで、実際、昨年の東京五輪に来日した海外マスコミの間で自国との違いが話題になった。それでも結婚数の減少による生まれる数の減少、自殺者数の増加は深刻な影響を物語っている。「コロナ感染リスクを許容しない抑え込めでいく考え方」(同氏)の社会的弊害の側面は見落とせない。
感染対処法の心得を
これまでにない第7波の感染拡大でも、できれば日常通りの活動をしたいところだが、このまま30万、40万と拡大したらどうなるだろうか。大阪府は27日に、重症化率の高い高齢者に対して外出自粛の要請を、盆休みを含む1カ月間取ることになった。このようなターゲットを絞った独自の行動制限を行う自治体も出てくるだろう。
番組では、ワクチンや飲み薬など社会経済活動との両立を見据えた議論により、新型コロナもインフルエンザのような一疾病と扱えるまでの過渡期にきたことをうかがわせた。ならば、毎日発表される新規感染者数の数に圧倒されるのではなく、細かい対処法の心得が肝心と思わされる。
(窪田伸雄)



