国は工事認可の判断
今、記者(片上)の手元に平成4年(1992年)5月28日付で、国の原子力安全委員会が決めた「発電用軽水型原子炉施設におけるシビアアクシデント対策としてのアクシデントマネージメントについて(決定)」という資料がある。(シビアアクシデントとは一般に原子力関連施設における大規模事故、アクシデントマネージメントはこの場合、シビアアクシデントの発生防止策)
これによると「アクシデントマネージメントが適切に行われるためには、原子炉設置者が、最新のシビアアクシデント研究の成果などを参考にして、その実施に関してあらかじめ有効適切と考えられる措置の手順を定め、それに必要な資機材並びに実施体制を整備し、要員を訓練しておくことが大切である」と。
さらに国の取るべき対応について「原子炉設置者により計画されるアクシデントマネージメントが工学的安全施設の適切な利用を阻害するものでないことを、例えば、工事計画の認可の際に確認すべきとするものである」と、原子炉設置者(東電)の自主性を重視する方針を決定している。国が「津波評価技術」を取り上げることになんら作為は見られない。
人知超えた自然災害
短い判決内容の中には、国の「長期評価」と土木学会作成の「津波評価技術」を共に認めた上で、津波の規模が想定よりもはるかに大きく人知を超越した自然災害への備えには限界があったという判断が含まれている。その内容は正当に評価されるべきだ。
(片上晴彦)



