対米不信の中東諸国
さらに、「侵攻の失敗は、米国の世界での地位を強化した。米国は、必要な時に世界的な協力体制を容易に築けることが明らかになった」と主張する。だが、2003年のイラク戦争から民主化運動「アラブの春」にかけて、中東各国のリーダーらの米国への警戒心は強まった。中東への関心が薄れ、内向き傾向を強める米国の信頼が、容易に復活するものなのかは今後の情勢を見守るしかあるまい。
一方、英ニュースサイト、ニュー・アラブは、「ロシアは、アラブの独裁者らの米国への不信感の高まりに付け込んだが、欧米中心の世界秩序が弱まる中で中国が、アラブ諸国のパートナーとなる可能性がある」と指摘している。
米リスクコンサルタント「ガルフ・ステート・アナリティクス」の最高経営責任者(CEO)、ジョルジオ・カフィエロ氏は、「米国のアラブの同盟国、パートナー国は、安全保障での米国への信頼を失っている」と強調、「歴代米大統領の政策を受けて、アラブ各国の高官らは、外交関係を多様化することで、米国への依存から脱すべきだと考えるようになっている」と、アラブ諸国の間で米国の不信が高まっていることを指摘している。
一方で、ロシアは、シリアへの軍事介入など、「欧米の大国とは違って、中東の友人に寄り添ってきた」と強調している。また、ロシアは「新たな多極世界の中で中国と共に築く新たな枢軸の柱になることを目指し」、サウジとUAEを加わらせようとしてきたという。



