ウクライナ・ショックの安保論議を小ネタにすり替えるサンデー毎日

陸上自衛隊第1師団の各部隊紹介=4月10日、東京・陸上自衛隊練馬駐屯地

危機感隠さぬ大塚氏

大塚議員は同誌に、「GDP1%の予算枠では、新規の装備品購入はおろか、現在の装備品のメンテナンスさえも十分できない状態」で、「このままでは緊急事態が起きたときに対処できないからこそ、早急に予算を増額すべきだ」と語る。

しかも、「日本の防衛費は、中国に購買力平価ベースで2000年に抜かれ、(略)中国は軍事予算を10倍に増やし続けてきた。一方、日本はこの20年間で1・03倍。装備、新技術の開発などは“長年の宿題”になってきている」と危機感をあらわにした。

4月に自民党は防衛力強化に向けた提言を岸田文雄首相に提出し、防衛費を「国内総生産(GDP)比2%以上を念頭に、5年以内の達成を目指す」としている。岸田首相もバイデン米大統領との共同記者会見で、「『防衛費の相当な増額』を確保する決意を表明」した状態だ。

さあ、これから具体的な議論をしていこうという時に、「GDP比2%にする」「核共有の議論をすべきだ」と語り出したのが安倍元首相で、これが「物議を醸した」。

 それで同誌がわざわざコメントを取りに行ったのが、党内きっての安倍批判者、村上誠一郎衆院議員。村上氏は安倍氏の発言を「常軌を逸した」と切って捨てた。

だが、村上氏の発言を載せても、防衛議論の足しにはならない。なのに、同誌は大塚氏が漏らした嘆きの部分から、「自民党の困惑」に話を持っていった。同誌のスタンスからすれば、こうして話を混ぜっ返したい意図なのだろうが。