
蛮行容認することに
その実態を毎日の大治朋子・専門記者は5月10日付「火論」で「レイプという『兵器』」という、おぞましい見出しで米学者らの見解を紹介していた。
「『兵士らは性的な傷を(ウクライナ市民に)残すことで彼ら(ロシア)の力を誇示しようとしている』。レイプの傷が刻まれた女性をあえて生かすことで、人々に癒えることのない傷と恐怖を刻み込む。それこそがウクライナ社会そのものへの陵辱なのだという」「レイプは女性を守れなかった男性たちに『個人の恥』『民族の恥』を感じさせ、彼らの自意識(アイデンティティー)も破壊する。そしてその刃は、地域社会も引き裂く」
朝日社説の停戦は聞こえはよいが、こうした蛮行の容認につながる。これには身内の国末憲人ヨーロッパ総局長も黙っておられなかったようで、6月4日付「世界はどこへ ウクライナ侵攻100日」で停戦論を痛烈に批判している。
「ロシア軍の撤退後間もなく、キーウ郊外ブチャに入った私は、拷問が疑われる多数の遺体や地下室に残る処刑の痕跡を目にした。ここでの虐殺は、ロシア軍が占領地で繰り広げたと疑われる非人道的行為の一端に過ぎない。ロシアの支配下の停戦は、犠牲を重ねる結果となりかねない。加えて、ロシアとの安易な妥協は侵略戦争の容認であり、国際秩序の崩壊を招く恐れが否定できない。軍事大国の攻撃に常におびえて暮らす世界を、次世代に残すべきではない。問題解決の第一歩は、ウクライナからのロシア軍の撤退にほかならない」




