自らを英雄とする凶悪犯に各紙は独善的論理を展開

証言すべき拉致関与

おまけに出所時には報道各社に「時代の証言者の一人として、反省や総括などを伝えることを自分の役割として応えていくつもり」とするコメントを配っている。「時代の証言者」とは恐れ入った。自らを英雄扱いだ。だが、真に証言すべきはテロ活動の実態だ。例えば、北朝鮮による日本人拉致事件への関与だ。

北朝鮮に逃亡した「よど号グループ」のリーダー、田宮高麿らが1976年に英国に入国しようとして摘発され、デンマークの北朝鮮大使館に移送後、平壌に送還される事件があったが、当時、英当局は田宮から日本赤軍宛ての手紙を押収し、田宮が日本赤軍と接触しようしていたことが発覚している。それ以降、日本赤軍とよど号グループとの接触はハンガリーやルーマニアなど東欧圏でたびたび確認されている。

ダッカ事件で坂東国男(あさま山荘事件犯=75年8月のクアラルンプール事件で「超法規的」釈放)や佐々木規夫(三菱重工業爆破犯=同)らが使用していた偽装パスポートは、拉致被害者の有本恵子さんらを拉致したよど号グループの妻らが使用していた偽造パスポートと発行年月日が同じで、番号も下1~3桁が異なるだけの北朝鮮製だった。日本赤軍の行動を各地の北朝鮮大使館員がサポートしていたことも判明している。