楽観できぬ状況続く
産経は、エネルギーや食料品などの輸入価格高騰に伴う国内の物価高が広がり、景気の重しとなっているとし、「日本経済は当面、楽観できない状況が続くと認識する必要がある」と指摘するが、同感である。
政府が閣議決定した、困窮世帯の支援を含む物価高の緊急対策の円滑な実施はもちろん、景気を腰折れさせない万全の対応が求められるとの指摘にも頷(うなず)けるのだが、岸田文雄首相に対して、「コロナ禍と両立する形で人々の消費行動を促す道筋について、もっと明確で丁寧な情報発信を求めたい」「物価高克服のため、消費を支える強い意思を示すべきである」との注文は、狙いは分かるが抽象的にすぎまいか。
また、円安も相まって輸入コストが上昇していると指摘しながら、内外金利差の拡大を招き、円安圧力の強まりを容認する日銀に対し注文がないのはなぜなのか。政府に対し厳しい注文を付けているだけに、余計に物足りなさを感じる。
東京は、「個人消費を回復軌道に乗せるため、所得税や消費税の減税をしてはどうか」と提案する。政府の最近の対策は現金給付が目立つが、貯蓄に回っている部分が少なくないからだ。
一理あるが、税収が減税分少なくなるため、それ以上に消費増の効果が出ないと、税収不足分を国債などで補う必要があり、財政を悪化させる可能性がある。
現実的な対応としては、日経が提案したインバウンド観光客の受け入れ拡大か。
岸田首相が示した水際緩和策に対して、日経は出発前の陰性証明に加えて入国時の検査を課す措置の扱いなど「全体像が不明確だ」として、これでは関連業界も受け入れの準備や積極的な投資に着手できないという。



