社説
【社説】NTT通信障害 官民挙げて対策強化を急げ
NTT東日本とNTT西日本のインターネット接続サービス「フレッツ光」などが一時利用できない通信障害が発生した。通信インフラの大規模障害で混乱を招いた責任は重い。
【社説】安保強化支援 地域全体の抑止力向上を
地域の安全保障協力を深めるため、政府は友好国・同志国の軍に防衛装備品などを供与する「政府安全保障能力強化支援」(OSA)の枠組みを創設し、その実施方針を決めた。地域全体の抑止力を向上させる必要がある。
【社説】米台会談 総統選にらみ連携強化を誇示
台湾の蔡英文総統と米国のマッカーシー下院議長(共和党)が米国のカリフォルニア州で会談し、米台の連携強化で一致した。米大統領の権限継承順位2位の下院議長と台湾総統が米国内で会談するのは米台断交後初めて。会談には民主党議員も参加し、超党派で行われた。
【社説】3月日銀短観 消費回復へ賃上げの波及を
原材料価格が高止まりする中、海外経済の減速が追い打ちとなり、企業心理の悪化に歯止めが掛からない――3月の日銀全国企業短期経済観測調査(短観)が示した大企業製造業の現況である。
【社説】NATO北欧拡大 露の侵略に決然とした措置だ
北欧のフィンランドが北大西洋条約機構(NATO)に正式加盟し、NATOは31カ国体制となった。ロシアがあからさまにウクライナを侵略して軍事的脅威を高めた結果であり、加盟申請から1年未満の素早さで加盟が実現したことは、欧米の加盟国がロシアの軍事力行使を許さず決然と対抗していく結束を示したと言える。
【社説】小西氏「サル」発言 資質問われる言語道断の言動
立憲民主党の小西洋之参院議員が、衆院憲法審査会の毎週開催について「サルのやること」などと発言した。70年以上前に施行された日本国憲法は、現在の内外情勢に対処するための改正が喫緊の課題となっている。そのための論議を貶める発言は、国会議員としての資質が問われる言語道断の言動だと言わざるを得ない。
【社説】日中外相会談 邦人救出に全力を挙げよ
林芳正外相が訪中し、秦剛国務委員兼外相と会談した。外相の訪中は約3年3カ月ぶり。昨年11月の日中首脳会談で林氏の訪中実現で一致したが、この時期となったのは「反スパイ法」違反容疑で拘束されたアステラス製薬の日本人男性社員の一刻も早い解放を求めるためだ。
【社説】英TPP加入へ 高水準の自由経済圏拡大を
環太平洋連携協定(TPP)に参加する日本など11カ国は、オンライン形式で閣僚会合を開き、英国の加入を認めることで合意した。7月にニュージーランドで開かれる予定の閣僚級会合で協定に署名し、各国の手続きを経て正式加入となる。欧州主要国である英国とインド太平洋地域との経済関係が強化される意義は大きい。TPPを主導する日本は、高水準の貿易・投資ルールに基づく自由経済圏のさらなる拡大に努めるべきだ。
【社説】グローバルサウス 安定と発展につながる支援を
岸田文雄首相は、米国などが主催する「民主主義サミット」にオンラインで参加し、アジアとアフリカ諸国に対して司法制度や選挙制度の構築などを支援していく考えを示した。中国やロシアなどの脅威が高まる中、第三極の「グローバルサウス」と呼ばれる新興・途上国への関与を強める必要がある。
【社説】こども家庭庁 伝統的な家族の良さ見直せ
子供政策の司令塔「こども家庭庁」がきょう発足する。少子化や虐待、いじめなど複数省庁にまたがっていた重要課題に一元的に取り組む新組織の門出に期待が集まるが、これまでの現金給付のような対症療法的な発想では成果は望めまい。
【社説】ミャンマー 民主化に逆行する動きは遺憾
クーデターで国軍が実権を握ったミャンマーで、民主化指導者アウンサンスーチー氏が率いる国民民主連盟(NLD)が解散に追い込まれた。民主化に逆行する動きは遺憾だ。
【社説】温暖化報告書 日本は気温上昇抑制に貢献を
国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」が、最新の科学的知見をまとめた第6次統合報告書で、19世紀後半からの気温上昇を1・5度または2度に抑えるために「この10年間に急速かつ大幅な、即時の温室効果ガス排出量削減」を要請した。
【社説】ベラルーシに核 露は国外配備で緊張高めるな
ロシアのプーチン大統領が、同盟国ベラルーシに戦術核兵器を配備することでルカシェンコ政権と合意した。ウクライナ侵略を続ける中、国外への核配備で地域の緊張が一段と高まることが懸念される。
【社説】文化庁京都に 省庁移転もっと大胆に進めよ
文化庁が京都市に移転し、業務を開始した。中央省庁がほぼ全面的に地方に移転するのは初めてだ。東京一極集中の是正が第一の目的だが、その必要性はより高まっている。政府は省庁移転計画を再立案し、もっと大胆に進めるべきだ。
【社説】中国の邦人拘束 繰り返される人権侵害許すな
中国・北京で今月、50代の日本人男性が「中国の国内法に違反した」として当局に拘束されたことが分かった。スパイ行為など国家安全関連の容疑とみられるが、中国側は十分な説明を行っていないという。外国人を拘束してその理由を公表しないのは、民主主義国では考えられないことだ。日本政府は中国に強く抗議し、男性の早期解放実現に全力を挙げなければならない。
【社説】WBC優勝 野球の醍醐味世界に伝えた
野球の国・地域別対抗戦、第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で、日本が14年ぶり3回目の優勝を飾った。劇的サヨナラ勝ちを収めたメキシコとの準決勝、世界のトップ選手との対決を実現した米国との決勝戦など、野球の醍醐味を世界に伝えた。
【社説】習氏の訪露 「平和の仲介役」とは呼べぬ
中国の習近平国家主席がロシアを訪問し、プーチン大統領と会談してウクライナ情勢などを話し合った。習氏の訪露は、ロシアのウクライナ侵攻後初めて。2日間の会談を終え両首脳が署名した共同声明では、中露関係が「歴史上最高のレベルに達し」たと両国の緊密な関係を誇示するとともに、中露が米欧に結束して対処する姿勢を強く打ち出した。
【社説】統一地方選開始 地元政策に関心高める選挙に
第20回統一地方選の前半戦が、北海道、神奈川、福井、奈良、大阪、鳥取、島根、徳島、大分の9道府県知事選の告示をもってスタートした。続く6政令市長選、41道府県議選、17政令市議選が月内に告示され、それぞれ4月9日の投票に向けて1票を競う舌戦を展開する。地元の政策への有権者の関心を高め、投票率が上がる議論を期待したい。
【社説】首相キーウ訪問 迅速柔軟な外交へ体制強化を
岸田文雄首相がウクライナの首都キーウ(キエフ)を電撃訪問し、ゼレンスキー大統領と会談した。首相のキーウ訪問は昨年2月のロシアのウクライナ侵攻後初めて。戦闘が行われている国に日本の首相が入るのも戦後初と異例だ。
【社説】イラク戦争20年 中東も米中競争の主戦場に
米国が主導した2003年のイラク戦争開戦から、20日で20年となった。この間、中東は「対テロ戦争」の最前線となってきたが、近年は米国が関与を低下させた隙を突く形で中露が影響を拡大させており、「大国間競争」の主戦場の一つへと変わりつつある。



