社説
【社説】人口推計 出生率高める大胆な施策を
2070年の日本の推計人口は8700万人で、このうち外国人が1割を占める――。国立社会保障・人口問題研究所がこのような推計を発表した。出生率を高める大胆で実効性のある施策を断行しなければ、人口減の流れを止めることはでない。
【社説】技能実習見直し 日本で安心して働ける制度を
外国人技能実習制度などの見直しを検討する政府の有識者会議は、制度の廃止と「人材確保」を目的とする新制度の創設を求める中間報告書を公表した。実習生の人権に十分に配慮し、日本で安心して働けるようにする必要がある。
【社説】米韓首脳会談 日本は両国との連携深めよ
バイデン米大統領と韓国の尹錫悦大統領がホワイトハウスで会談した。米韓両国の連携強化は、韓国と同様に東アジアにおける米国の同盟国で、北朝鮮の核・ミサイルに脅かされる日本にとっても重要だ。
【社説】スーダン退避 自衛隊の課題も浮き彫りに
軍事衝突が続くアフリカ北東部スーダンから、邦人や外国籍の家族計58人が自衛隊機を使うなどして国外に出た。首都ハルツームの退避希望者は全員出国を果たした。戦闘に巻き込まれることなく、無事に退避できたことは何よりである。
【社説】中国「海外警察」 容認できぬ主権、人権侵害
米連邦捜査局(FBI)は、ニューヨークに中国の「警察拠点」を違法に設立し、運営に関与したとして61歳と59歳の男2人を逮捕した。外国に警察の出先機関を秘密裏に設け、反体制派の監視や脅迫のために利用することは、明白な主権侵害だ。中国の身勝手な振る舞いは容認できない。
【社説】衆参5補選 政権への信任だが課題も
衆院4、参院1の計五つの補欠選挙が投開票され、自民党の4勝1敗という結果になった。岸田政権への「中間評価」としては一定の評価を得、信任されたと言っていい。ただ、衆院山口4区以外は接戦を制しての辛勝で、敗北した衆院和歌山1区では日本維新の会の伸長という課題が明確になった。
【社説】統一選後半戦 当選者と有権者繋ぐ自治体を
第20回統一地方選挙の後半戦となる市区町村長・議会議員選挙の投開票が行われた。住民の生活に最も近い自治体の選挙であり、遊説カーや候補者本人の呼び掛けが裏通りの家並みにまでこだまする選挙戦の投票結果が表れる一方、無投票、議会での定員割れなど寂しい状況もある。
【社説】観光船事故1年 再発防止への取り組み徹底を
北海道・知床半島沖で26人を乗せた観光船「KAZU Ⅰ(カズワン)」が沈没した事故から、きょうで1年が過ぎた。悲惨な事故の再発防止を誓う一日としたい。
【社説】スーダン戦闘 一刻も早い邦人の救出を
情勢が悪化したアフリカ北東部スーダンの在留邦人退避のため、航空自衛隊のC130輸送機1機が周辺国のジブチに向けて出発した。準備が整い次第、C2輸送機、KC767空中給油・輸送機各1機も派遣する。一刻も早い邦人救出が求められる。
【社説】日本学術会議 強い懸念残る改正法案見送り
政府は日本学術会議の会員選考の在り方を見直す法改正案について、今国会への提出を見送ることを決めた。学術会議は発足当初から日本共産党との関係が深く、軍事研究を認めないのも共産党の影響とみていい。会員選考の客観性や公正性を確保する法案の提出見送りで、引き続き共産党色の残ることが強く懸念される。
【社説】G7外相会合 中露の国際秩序破壊の抑制を
先進7カ国(G7)外相会合は共同声明で「法の支配に基づく自由で開かれた国際秩序」などを強調して閉幕した。ウクライナを侵略しているロシアや武力による台湾「統一」を露骨に主張する中国に対して、G7が結束して反対していくことは極めて重要である。
【社説】総人口減少 価値観に踏み込んだ対策を
わが国の人口減少の流れを止めるためには、日本人のライフスタイルや価値観にまで踏み込んだ対策が必要だ。戦後、ほとんどタブー視されてきた、この問題に踏み込み、背景にある社会構造の変革なくして、流れを変えることはできない。
【社説】首相に爆発物 テロに甘い風潮に猛省を
岸田文雄首相が遊説先として訪れていた和歌山市の雑賀崎漁港で、24歳の男が筒状の爆発物を投げ込み、大きな爆発音が起こった。男はその場で取り押さえられて逮捕されたが、どのような理由があってもテロは断じて容認できない。卑劣で凶悪な無差別テロは言語道断の暴挙であり、選挙応援の会場を狙ったのは民主主義への挑戦だと言わざるを得ない。動機の徹底解明と厳正な処罰が求められる。
【社説】北ミサイル 核シェルターの整備を急げ
北朝鮮が日本海に向けて弾道ミサイルを発射した。日本政府は北海道南西部の陸地に落下する恐れがあるとし、全国瞬時警報システム(Jアラート)で避難を呼び掛けたが、北海道周辺への落下はなくなったとして解除した。安全確保のため、正確性よりも迅速性を優先し、Jアラートを通じて警報を発令した判断は正しい。ただ今回のケースをきちんと検証し、正確性の向上にも努めてほしい。
【社説】仏の対中外交 取り込まれることを懸念
フランスのマクロン大統領が中国を訪問し、台湾問題で中国寄りの発言をしたことが波紋を呼んでいる。民主主義陣営が対中包囲網を形成する中、その連携にくさびを打ち込もうとする中国に取り込まれることが懸念される。
【社説】海洋酸性化 危機認識し官民挙げ対策を
大気中の二酸化炭素(CO2)が増え、海水に溶け込む量が増えることによる海洋の酸性化が進んでいる。海洋酸性化は地球温暖化を加速させるばかりでなく、海洋生物に深刻な影響を及ぼすことが懸念されている。官民で対策に本腰を入れて取り組まなければならない。
【社説】衆参5補選 国難への対処策競い審判仰げ
四つの衆院補欠選挙が告示された。参院大分補選、統一地方選後半戦とともに23日に投開票される。とりわけ国政選挙である衆参5補選の勝敗は、岸田文雄首相の政権運営の中間評価としての意味があるとともに、終盤国会での求心力に直結し、衆院解散戦略にも影響する。
【社説】統一選前半戦 維新躍進が示す野党への期待
統一地方選挙の前半戦となる9知事選、41道府県議選、6政令市長選、17政令市議選が行われ、自民党、公明党の与党はおおむね安定した選挙結果を得たが、地域政党「大阪維新の会」と日本維新の会の候補が大きく躍進した。共産、社民は減退し、期待される野党像の輪郭が浮かび上がっている。



