社説
【社説】IPEF会合 民主的ルールで中国に対抗を
米国が主導する新経済圏構想「インド太平洋経済枠組み(IPEF)」に参加表明した日米やインドを含む14カ国が、米ロサンゼルスで初めて対面形式の閣僚級会合を開催した。会合では、民主主義の価値観に基づく「21世紀型ルール」の構築に向けて正式な交渉開始を宣言する閣僚声明を採択した。
【社説】沖縄県知事再選 辺野古移設の地元民意尊重を
沖縄県知事選が投開票され、野党勢力「オール沖縄」推薦の現職・玉城デニー氏が大差で再選された。米軍普天間基地の移設について玉城氏は「反対の民意が明らかになった」と表明した。しかし、普天間基地を抱える地元の宜野湾市と移設先の名護市では、移設「容認」を訴えた自民・公明推薦の佐喜真淳氏が得票数で玉城氏を上回ったのである。
【社説】止まらぬ円安 日銀は金融政策を転換せよ
円相場は7日の東京外為市場で1¥外字(93d9)=144円台と約24年ぶりの円安水準を更新するなど、円安に歯止めがかからない。背景にあるのは日米金利差の拡大である。日本経済は復調傾向にあり、大規模緩和は必ずしも必要でなくなっている。日銀は大規模緩和を見直し、金融政策の転換を表明すべきである。
【社説】自民の絶縁推進 看過できぬ内心の自由侵害
自民党が旧統一教会(世界平和統一家庭連合)および関連団体との関係について、党所属国会議員379人の点検結果を発表した。8項目の質問の一つでも該当すると答えた議員は179人で、そのうち選挙支援依頼などがあった121人の実名を公表し、今後は関係断絶を党内に徹底していくのだという。
【社説】英女王死去 立憲君主として見事な生涯
歴代最長の70年間、女王として国民の母として英国を導いたエリザベス女王が死去した。その生涯は英国と英国民のために捧(ささ)げた生涯だった。立憲君主としての見事な治世を実現し、日英親善の絆ともなった女王に心からの哀悼の意を表したい。
【社説】安倍氏銃撃2カ月 倒錯もたらす事件の政治利用
安倍晋三元首相が銃撃により殺害された事件から2カ月が経(た)つ。現行犯逮捕された容疑者が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)への恨みによる犯行を供述したことから、直接関わりのない政治家を標的にするなど不可解な点があるにもかかわらず、マスコミの旧統一教会批判を絡めながら安倍氏の国葬をめぐる政争が過熱しているのは遺憾である。
【社説】ロシア軍事演習/中国との連携強化に警戒を
ロシアは東部軍管区で4年に1度の大規模軍事演習「ボストーク(東方)2022」を実施し、中国などが参加した。中露両国には演習を合同で行うことで、共通の仮想敵である米国などを強く牽制(けんせい)する狙いがある。要警戒だ。
【社説】英新首相 対中露外交の継続強化期待
英与党保守党の党首選挙でエリザベス・トラス外相が勝利し、新首相に就任した。故サッチャー氏、メイ氏に続く史上3人目の女性首相には、ロシア、中国と厳しく対峙(たいじ)するジョンソン前首相の外交路線の継承・強化を期待したい。
【社説】ウイグル国連報告 弾圧する中国へ圧力強めよ
中国がこれまで否定してきた新疆ウイグル自治区での人権弾圧を国連機関が公式に認めた。中国はこの事実を真摯(しんし)に受け止め、人道に反するウイグル人への弾圧を直ちにやめるべきだ。
【社説】ゴルバチョフ氏 冷戦終結の功績は大きい
東西冷戦を終結に導き、ノーベル平和賞を受賞したミハイル・ゴルバチョフ元ソ連大統領が死去した。ロシアがウクライナを侵略している現在、その功績に改めて目を向ける必要がある。
【社説】日本人職員最多 国連での存在感を高めよ
林芳正外相は、国連に関係する42の機関で働く日本人職員が2021年末時点で過去最多の956人になったと発表した。20年末に比べ38人の増加で、日本人幹部職員も3人増の91人とこれも過去最多だ。主要国に比べれば少ないが、日本の存在感を高め、また国連加盟国としての責務を果たす上でも、日本人職員の増加は歓迎すべきことである。
【社説】梅毒過去最悪 性モラル高め拡大防ぐ教育を
性感染症の梅毒患者が最悪のペースで増えている。出会い系アプリが性モラルの崩壊に拍車を掛ける状況の中、「多様な性」を強調する学校教育の影響を受け、性モラルを欠いた若者が社会に出ている。性教育の在り方を見直すことが急務である。
【社説】自民“絶縁”宣言 信教の自由軽んじる愚行だ
信教の自由、思想・信条の自由は、人類が歴史の中で学び取った重要原則である。憲法19条、20条にも保証され、戦後の日本が自由世界の一員として守り続けてきた中心的な価値である。それを軽んじ、危うくさせることがあってはならない。
【社説】防災の日 緊急時に備え「防災省」検討も
きょうは「防災の日」。大正12(1923)年9月1日に発生した関東大震災に由来している。わが国は災害列島と呼ばれるほど地震をはじめさまざまな自然災害の被害を受けてきた。防災対策を充実させるとともに複合災害や大災害発生時に救援・支援活動を統括する「防災省」設立を検討すべきだ。
【社説】アフリカ会議 中露に対抗し成長に貢献を
日本主導でアフリカへの支援を議論するため、第8回アフリカ開発会議(TICAD8)がチュニジアの首都チュニスで開催され、2日間の討議成果を盛り込んだ「チュニス宣言」を採択して閉幕した。アフリカは世界経済の「最後のフロンティア」と呼ばれる。中国やロシアが影響力を強める中、日本は人材育成や透明性の高い開発金融などで成長に貢献すべきだ。
【社説】NPT会議決裂 安易な期待慎み抑止力高めよ
今月初めニューヨークで始まった核拡散防止条約(NPT)の再検討会議は 前回2015年に続き、今回も最終文書を採択できず決裂して閉会した。ロシアのウクライナ侵略で核使用の危険が高まる中、核軍縮を目指すNPT体制の信頼性が大きく揺らぐ結果となった。
【社説】維新新体制 憲法改正の機運を高めよ
日本維新の会は大阪市内で開いた臨時党大会で代表選の投開票を行い、馬場伸幸共同代表を新代表に選出した。先の参院選では、維新のほか自民、公明、国民民主各党など憲法改正に前向きな「改憲勢力」が、非改選も含めて改憲発議の条件となる3分の2(166議席)を維持した。維新は改憲の機運を高めるべきだ。
【社説】「全数把握」見直し 政府の責任で全国一律化を
岸田文雄首相は新型コロナウイルス感染者全ての氏名などの情報を確認する「全数把握」を見直し、高齢者らに限定できるよう新たな仕組みを導入すると発表した。医療現場の負担を軽減するための措置だが、全国一律ではなく、導入の判断を都道府県に委ねるのは中途半端で混乱を招く。



