第20回統一地方選の前半戦が、北海道、神奈川、福井、奈良、大阪、鳥取、島根、徳島、大分の9道府県知事選の告示をもってスタートした。
続く6政令市長選、41道府県議選、17政令市議選が月内に告示され、それぞれ4月9日の投票に向けて1票を競う舌戦を展開する。地元の政策への有権者の関心を高め、投票率が上がる議論を期待したい。
人口減少で深刻な影響
新型コロナウイルス感染が収束する一方、経済再開とウクライナへのロシア軍侵攻が引き起こした世界的な品不足、インフレ、物価高騰を受け、生活不安を感じる有権者は多い。また人口減少が将来、地方自治体に深刻な影響を及ぼすと予想され、子育て支援、少子化対策、高齢化問題は地方の大きな課題になっている。
これらを焦点に争われる大型地方選であり、岸田文雄政権への評価と次回の衆・参院選を占うバロメーターとなるとみられることから、各党とも力が入っている。地方活性化を自治体と共にいかに実現させていくか、積極的に地方政策を打ち出してほしい。
9知事選のうち、与野党対決型になるのが北海道、大分県の2知事選だ。大阪では、府知事・市長選で地域政党・大阪維新の会の現職と対決する「維新対非維新」の選挙戦となった。国政政党である日本維新の会の本拠地の選挙であるのに加えて、地方議会にどれだけ維新系議員が進出するかも、今後の野党関係、与野党関係の行方を占う注目点になっている。奈良、徳島の2県は保守分裂、神奈川、福井、鳥取、島根4県では与野党相乗りの選挙となった。
統一地方選は、多くの自治体選挙を同時に行うことにより注目を集める効果があるが、近年、国政選挙と同様に投票率低下が問題になっている。例えば前回の2019年に行われた41道府県議選の平均投票率は、44・02%で過去最低記録を更新した。昨年12月に行われた茨城県一県での県議選投票率は、過去最低を下回る38・54%だった。
地方選への有権者の関心がなかなか高まらないのは残念なことだ。地方の過疎化、都市部への人口集中をもたらす住居の移動、進む世代交代などで自治体や地域社会との縁が薄い住民が増えている現実はある。
しかし、そのような有権者にどれだけ行政や地方議会の取り組みを伝え、地方政策に関心を寄せるよう働き掛けてきたか、首長および首長候補、地方議員および候補ら地方政治家の日常の発信も問われているはずだ。
若者向けにネット活用を
また、インターネットを活用した選挙運動が進んでおり、ネット交流サイト(SNS)は地域密着型の地方選でこそ活用されるべきだろう。少子化対策は若い世代の減少を防ごうとするものだけに、とりわけ18歳以上の若い有権者が関心を持つよう期待したい。
その意味では、投票率の高さが自治体を舞台とした地方活力のバロメーターという見方もできるだろう。地方政治の実際をより多くの有権者に伝える努力により、投票率上昇につなげてほしい。



