立憲民主党が党大会を開催した。泉健太代表は4月の統一地方選や衆院補欠選挙の勝利に全力を挙げる考えを強調。党勢回復に向けて結束を呼び掛けるとともに、政権交代を目指す考えを示した。
しかし日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、憲法改正に後ろ向きの姿勢を示すのであれば有権者の支持は得られない。
維新との大きな隔たり
報道各社の世論調査で立民の支持率は低迷を続けており、党の立て直しが課題となっている。党大会では「2023年度活動計画」を採択。日本維新の会との国会共闘を念頭に「各党との『政策別連携』を深化させて、国民の声を代弁した政治の実現を目指す」とした。
維新との協力を深めるのは、支持層をリベラル寄りだけでなく、自民党や維新を支える保守層の一部にも広げるためだ。だが、憲法を巡る維新との隔たりは大きい。
今国会での衆院憲法審査会の開催に関しては、早期の憲法討議を求める維新に対し、泉氏は衆院での予算審議中の開催に否定的で、両党幹部が応酬する場面もあった。結局は3月2日に開かれることになったが、両党の足並みの乱れが浮き彫りになったと言えよう。
立民は昨年夏の参院選で改選23議席から6議席減らして敗北した。これを受け、昨年8月に新執行部を発足させて「中道路線」を目指してきた。相手国のミサイル発射拠点などを攻撃する反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有を巡っても、執行部は一定の条件下で容認することを目指していた。
ところが、党内のリベラル系議員から反対論が噴出。昨年末にまとめた「外交・安全保障戦略の方向性」では、保有は全否定しないが、政府の掲げる反撃能力は「先制攻撃」のリスクが大きいなどとして「賛同できない」と結論付けた。
これで本当に国民を守れるのか疑問が残る。こうした党内対立は旧民主党政権以来の宿痾であり、克服できなければ政権交代への道は開けまい。
さらに党内で、共産党との選挙協力を求める意見が根強いことも問題だ。野党共闘によって当選した立民の議員らからは「次期衆院選も都市部を中心に共産党と協力が必要だ」との声が上がっている。
しかし、共産党は日米安保条約廃棄や自衛隊解消など国の安全を脅かすような政策を掲げている。さらに党首公選制の導入を求めた党員が除名されたことを見ても分かるように、極めて非民主的な革命政党である。
このような政党と立民との協力を国民が受け入れられないのは当然だ。革命政党の力を借りて議席を得ているようでは党勢回復などできない。
地道に政権担当能力磨け
政権担当能力のある野党が存在しなければ、与党の政権運営からも緊張感が失われ、政党政治への不信感が高まろう。野党第1党の立民が政権交代を目指すのであれば、現実的な政策を掲げ、与党にも是々非々で対応して地道に政権担当能力を磨いていくしかない。改憲に対しても前向きな姿勢で臨むべきだ。



