れいわ新選組の水道橋博士参院議員が辞職した。これを受け、山本太郎代表は、水道橋博士氏の残り任期(2028年7月まで)について、昨夏の参院選での比例名簿順に各1年ごとに議員を交代する意向を示した。
参院議員の任期は憲法で6年と定められている。1年ごとの交代は、議員の本分をないがしろにするものだと言わざるを得ない。
与野党から批判の声
水道橋博士氏は昨年7月の参院選で初当選したが、うつ病と診断され、10月以降は議員活動を休止していた。しかし、その辞職に伴う繰り上げ当選者の1年交代は法の趣旨に反するものだ。山本氏は「残り任期を有効に活用する」としているが、これは議席の私物化にほかならず、国民の負託に応えられるとは思えない。国会議員の務めをあまりにも軽く考えているのではないか。
特に、参院は「良識の府」と呼ばれる。任期が4年で、いつ解散があるか分からない衆院議員と違い、任期6年の参院議員は長期的な視野で政策を考えることが期待されている。「ローテーション」では到底有権者の理解は得られまい。
与野党からは批判の声が上がっている。自民、立憲民主両党の参院国会対策委員長は、会談で「憲法との整合性の面からどうなのか」などと疑義を呈し、参院議院運営委員会で協議することで一致した。このような事態を防ぐためのルール導入が急務である。
一方、NHK党のガーシー参院議員が昨年7月の初当選以来、一度も登院していないことも大きな問題だ。当選以降も海外に滞在しており、これでは何のために国会議員になったのか分からない。「国会に出るかどうかはそれぞれの議員が決めるべきだ」とする立花孝志党首の見解も理解し難い。
警視庁は今月、動画投稿サイトで複数の著名人らを中傷、脅迫した疑いがあるとして、ガーシー氏の関係先など数カ所を家宅捜索した。ガーシー氏はSNSのライブ配信で「3月上旬に日本に帰国する」と述べた。国会に出席し、警視庁の任意聴取にも応じる意向だという。
それでも、今月23日召集の通常国会には途中からの出席ということになる。国会法は議員が正当な理由なく召集日から7日以内に登院せず、議長が促しても応じない場合は「懲罰委員会に付す」と規定している。参院は適切かつ厳正に対応する必要がある。
れいわもN党も国会議員の重責に対する自覚を欠いており、極めて遺憾である。だが、こうした事態が生じる背景には、参院の存在感低下があるのではないか。参院は独自性が薄れて「衆院のカーボンコピー」と言われて久しい。一部議員の思慮を欠いた行動によって信頼を失えば「参院不要論」が強まる恐れもある。
改憲で衆参の役割明確に
ただ、日本の国内外では難問が山積している。これを政治の力によって解決するには、二院制を十分に機能させることが欠かせない。
憲法改正によって衆参両院の役割分担を明確にすべきだ。



