社説

【社説】田園都市構想 地方移住の波をより大きく

政府は東京圏から地方への移住者を年間1万人に増やすことなどを柱とした「デジタル田園都市国家構想」の5カ年総合戦略を閣議決定した。地方のデジタル化推進を地域活性化に繋げる計画だが、新型コロナウイルス禍による地方移住の波をより大きなものにする必要がある。

【社説】23年度予算案 税収増へ一段の経済力強化を

2023年度予算案が閣議決定された。一般会計総額は114兆3812億円と11年連続で過去最大を更新。防衛力の抜本的強化や脱炭素、少子化対策などに重点配分したためである。

【社説】ウクライナ復興 日本は経験生かし積極貢献を

先進国の間では、ロシアの侵略を受けるウクライナの復興支援に向けた動きが活発化している。日本もこれまで他国の復興で培ってきた知見、経験を生かし、積極的に貢献することが望まれる。

【社説】原子力最大活用 安全徹底しエネ自給目指せ

岸田文雄政権は脱炭素社会実現に向けた基本方針をまとめ、原子力について「最大限活用する」と明記した。原発の建て替えや運転期間延長も盛り込んだ。安全策とその点検をさらに徹底してきめ細かい原発政策を遂行することで、エネルギー自給の契機になることを願う。

【社説】金融緩和修正 もっと早くできなかったか

日銀がようやく大規模金融緩和の修正に踏み切った。大規模緩和の継続は、インフレ抑制のため欧米が利上げに動く中、内外金利差の拡大で異常な円安が進み、記録的な物価高の大きな要因になっていた。

【社説】米ウ首脳会談 露の侵攻跳ね返す決意示した

ロシアから軍事侵攻を受けているウクライナのゼレンスキー大統領が米国を直接訪問し、バイデン大統領と会談したほか連邦議会で演説する中で「絶対的な勝利を勝ち取る」との決意を表明した。事実上の侵略戦争を耐えて約10カ月たつが、米国はさらなる支援の継続を約束した。国際社会が足並みを揃(そろ)えてロシアに野望を断念させる粘り強い支援と働き掛けが重要だ。

【社説】知床事故報告書 極めてずさんだった安全管理

北海道・知床半島沖で26人が乗った観光船「KAZU I(カズワン)」が沈没した事故で、運輸安全委員会は、船前方のハッチと窓から浸水して沈没した可能性が高いとする調査経過報告書を公表した。

【社説】生物多様性 地球全体の利益考えた行動を

カナダのモントリオールで開かれた国連生物多様性条約第15回締約国会議(COP15)は、希少な動植物の保全などを進めるための新たな国際目標で合意した。自然環境や生態系の保全は人類の存続に不可欠だ。全世界が新目標達成に向け協力しなければならない。

【社説】少子化対策 結婚の意義をもっと訴えよ

有識者で構成する政府の「全世代型社会保障構築会議」が、社会保障改革に関する報告書を岸田文雄首相に提出した。

【社説】鳥インフル 感染リスク減らす対策徹底を

青森県三沢市内の養鶏場で家畜伝染病の高病原性鳥インフルエンザが発生し、県は卵を産ませる採卵鶏約137万羽の殺処分を行っている。殺処分の対象羽数は、単独の養鶏場としては過去最多となる。大規模な殺処分は鶏卵価格の高騰にも拍車を掛けかねない。

【社説】安保3文書改定 反撃能力の一刻も早い確保を

政府は「国家安全保障戦略」など安保関連3文書を改定した。反撃能力の保有が明記されたほか、防衛力を抜本的に強化する施策が掲げられ、日本の防衛政策は大きな転機を迎えた。

【社説】12月日銀短観 原材料高で景況感悪化続く

新型コロナウイルスが景気を大きく左右する要因ではなくなってきた一方、原材料価格の高騰が景況回復の「重し」になっている――日銀の12月全国企業短期経済観測調査(短観)が浮き彫りにした企業の現状である。

【社説】常任理事国拡大 平和を維持できる国連改革を

日本およびインド、ブラジル、ドイツ、アフリカの代表を国連安全保障理事会常任理事国に加える提案を英国のクレバリー外相が行ったことは、常任理事国入りを目指すわが国にとって歓迎されることだ。ロシアのウクライナ軍事侵攻になす術(すべ)もない安保理の状況は、国際平和を維持する国連の目的を形骸化しており、国連改革の国際世論を高めるべきだ。

【社説】防衛費財源 増税ではなく国債発行検討を

岸田文雄首相は防衛・財務の両閣僚に、防衛費を2027年度に国内総生産(GDP)比2%まで増額することを指示し、5年間の防衛費総額をこれまでの1・5倍に当たる約43兆円とする方針を示した。

【社説】臨時国会閉幕 国難対処へ危機感が欠如

異例ずくめの臨時国会が閉幕した。岸田文雄首相の政権運営は危険運転が続き、政権の不安定感が増している。国会全体を見ても、安全保障や少子化問題など国難対処への危機感が欠如し、憲法改正に向けた建設的な論戦もなかった。

【社説】「救済法」成立 信教の自由に暗い影落とす

世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を巡る問題を受けた「被害者救済新法」が成立した。行き過ぎた寄付勧誘の規制を目的とするものだが、憲法で保障された信教、内心の自由を侵しかねない法律が、拙速に成立したことは、わが国の自由と法治に暗い影を落とすものと言わざるを得ない。

【社説】辺野古移設 県は法廷闘争やめ協力を

米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設を巡り、国土交通相が県による埋め立て承認撤回を取り消す裁決をしたのは違法として、県が裁決の取り消しを求めた訴訟で、最高裁は県の上告を棄却する判決を言い渡して県の敗訴が確定した。

【社説】保育園児虐待 信頼損なった責任逃れの対応

静岡県裾野市の私立「さくら保育園」で、当時の保育士3人が園児の足をつかんで宙づりにするなどの体罰を繰り返していた問題で、県警が3人を暴行容疑で逮捕した。

【社説】岸田首相答弁 信教の自由に無理解は遺憾だ

法人被害者救済新法案の審議が大詰めを迎える中、岸田文雄首相は国会答弁で宗教団体への献金を巡るトラブルに関連し「自発的に献金しているように見えても、不安に乗じて教義を教え込まれ困惑させられて献金されたものだ」と述べ、同法案の取り消し権の対象となるとの認識を示した。信仰に「マインドコントロール」と疑いをかけ、信教の自由を干犯しかねない遺憾な発言である。

【社説】米「ねじれ議会」 懸念される「内向き」姿勢

米中間選挙で連邦議会上院(定数100)の最後の1議席を決める決選投票が南部ジョージア州で行われ、与党民主党の現職が野党共和党の新人に僅差で勝利した。これを受け、上院は民主51、共和49、下院(定数435)が共和222、民主213の議席配分が確定。上院は民主党、下院は共和党が4年ぶりに多数派を握った。「ねじれ議会」となったため、今後は与党側の予算案や法案が通りにくくなることが予想される。

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