社説
【社説】知床観光船事故 安全管理は十分だったか
北海道・知床半島沖で観光船「KAZU Ⅰ(カズワン)」が浸水し、乗っていた26人が行方不明となった事故では多くの死者が出ている。海上保安庁や自衛隊、消防などは行方不明者の捜索・救助に全力を挙げなければならない。
【社説】反撃能力 急がれる国防政策の見直し
国家安全保障戦略の改定に向けた提言案が自民党の安全保障調査会で了承され、敵基地攻撃能力の呼称を「反撃能力」に改めることとし、また対象となる敵基地に司令部などの「指揮統制機能等」が含められた。
【社説】G20財務相会議 米英などの退席は当然の対応
20カ国・地域(G20)の財務相・中央銀行総裁会議が米ワシントンで開かれた。G20メンバーのロシアがウクライナを侵略してから初めての閣僚級会合で、米国や英国、カナダなどは抗議の意思を示すため、ロシアの参加者が発言する場面で退席した。力による一方的な現状変更を強行しただけでなく、ウクライナで多くの民間人を虐殺したロシアのG20参加が認められないのは当然だ。
中国「都市封鎖」 人権軽視の「ゼロコロナ」強行
新型コロナウイルスの感染を徹底して抑え込む中国の「ゼロコロナ」政策が、国民の人権を大きく圧迫し、経済活動にも影を落としている。厳格な感染対策を成功させ、共産党独裁体制の優位性を示そうという政治的な意図を隠そうともしない。国民の命や健康は二の次である。
防衛費増額 国際情勢への対処に不可欠
防衛費の増額を求める声が、各方面から高まっている。自民党の安倍晋三元首相は安倍派の会合で、国内総生産(GDP)比2%を目標に、わが国の防衛費を引き上げるべきだとの認識を示した。
処理水海洋放出 積極的な風評被害抑制策を
東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出が決まってから1年が経過した。政府と東電は貯蔵タンクが満杯となる来年春頃の放出を予定しているが、風評被害を懸念する漁業者の納得を得られていない。廃炉を進めかつ漁業を守るために、政府は風評抑制の積極的な行動を起こすべきである。
新電力採算悪化 安易な事業参入防ぐ制度を
ロシアによるウクライナ侵略でエネルギー価格が高騰し、格安で電気を提供してきた新電力各社の採算が悪化している。帝国データバンクによると、2021年4月に営業が確認できた新電力約700社のうち、約4%の31社が倒産や廃業、事業撤退に追い込まれた。電力小売り自由化により参入が相次いだ新電力各社は大きな岐路に立たされている。
露の対日挑発 警戒要する軍事活動活発化
ロシア国防省は、海軍太平洋艦隊の潜水艦2隻が巡航ミサイル「カリブル」の発射演習を行い、日本海上の標的に命中したと発表した。タス通信はミサイルは日本海海域から発射されたと報じた。
物価高騰対策 困窮者を支援し円安に対処を
新型コロナウイルス対策に伴う折からの物価上昇にロシアによるウクライナ侵略が追い打ちをかけ、国民生活への経済的影響はさらに大きくなる見通しだ。政府は今月末に原油価格・物価高騰への緊急対策を打ち出すが、対露制裁に国際社会と結束して臨むとともに経済的困窮者への支援に取り組むべきだ。
感染再拡大 若年層の3回目接種加速を
新型コロナウイルスの新規感染者が全国的に再び増加(リバウンド)している。「第7波」の始まりを警戒する声もある。感染拡大の中心となっている若年層へのワクチン3回目接種を加速させるために、政府や地方自治体はもっと力を入れるべきだ。
【社説】最年少完全試合 「令和の怪物」の本領発揮
プロ野球ロッテの佐々木朗希投手が、オリックス戦で一人の走者も出さず打者27人で勝利投手となる完全試合を達成した。20歳5カ月での達成は史上最年少記録だ。
対露追加制裁 プーチン政権を弱体化させよ
岸田文雄首相は、ロシアによる侵攻が続くウクライナで民間人の遺体が多数見つかったことを受け、石炭の輸入禁止や最大手銀行ズベルバンクの資産凍結など5項目の追加経済制裁を発表した。
【社説】航行の自由作戦 日米は中国への警戒強化を
米国防総省が、米軍による2021会計年度版「航行の自由作戦」の報告書を発表した。この作戦は、強引な海洋進出を強める中国への対抗手段だ。力による一方的な現状変更を許さないとの姿勢を示すことは、ウクライナを侵略するロシアへの圧力を高める上でも重要だと言える。
IPCC報告 原発柱に多角的脱炭素を
待ったなしの温暖化対策で現実的な対応が求められている。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)第3作業部会は、産業革命以前からの気温上昇を1・5度に抑えるには、遅くとも2025年までに世界の温室効果ガス排出量を減少に転じさせる必要があるとする報告書を公表した。
【社説】露拒否権行使 安保理改革か新国連の実現を
国連安全保障理事会でウクライナのゼレンスキー大統領がロシアの軍事侵攻後初めてビデオ回線を通じて演説し、「安保理の拒否権を『死なせる権利』に変えようとしている」とロシアを批判するとともに国連が機能しない問題を強く批判した。
【社説】年金制度改正 高齢者も社会の支え手に
公的年金の受給開始時期の上限が75歳に引き上げられた。また、一定以上の収入がある60代前半の年金を減額する仕組みを見直し、これまでより多く受け取れるようになった。高齢者の就労を後押しして社会の支え手を増やしたい。
【社説】露の大規模虐殺 プーチン氏に法の裁きを
戦争における民間人虐殺は国際法に違反する蛮行であり、人道上も到底容認できない。国際社会は経済制裁強化などロシアに対する圧力を高め、責任を徹底追及すべきだ。



