社説
【社説】スリランカ 危機招いた対中債務の「わな」
経済危機に直面しているスリランカで混乱が広がっている。スリランカ政府はゴタバヤ・ラジャパクサ大統領の国外脱出を受け非常事態を宣言した。これ以上の混乱に陥らせないための国際支援が求められる。
【社説】安倍氏警護 徹底検証し悲劇の再発防げ
政界の重鎮である元首相をなぜ守れなかったのか――。安倍晋三元首想が銃撃され死亡した事件で、警察庁は警護に問題があったとして、庁内に検証チームを設け、要人警護の在り方を抜本的に見直すことを決めた。徹底検証して悲劇の再発を防がねばならない。
【社説】ウクライナ 復興見据えた国際支援を
ロシアによるウクライナ侵略が長期化の様相を深める一方、ウクライナの復興計画が欧米を中心に協議されている。スイス南部ルガノで開かれた国際会議では、復興に向けた行動の原則を盛り込んだ「ルガノ宣言」を採択した。民主主義陣営は結束して支援すべきだ。
【社説】参院選結果 期待される野党の不在が深刻
第26回参院選挙の結果が確定した。今回の改選124議席と神奈川選挙区の欠員1議席を補う計125議席のうち、自民党が63議席と過半数を獲得し、公明党は擁立した7選挙区の候補者全員の当選と比例区で6議席を得て13議席を確保。非改選と合わせ連立与党は参院で146の安定多数を得る大勝だった。
【社説】自公過半数/「志」固め国難克服に挑戦を
第26回参議院選挙が投開票され、自民、公明の与党が改選過半数を獲得し、非改選と合わせて過半数維持に必要な55議席を確保した。昨年の衆院選に続いての与党の勝利により、国民は岸田文雄政権を信任したことになる。
【社説】参院選投開票 国難に対処できる人材選べ
第26回参議院選挙がきょう、投開票される。立候補した選挙区367人、比例代表178人の計545人が、ウクライナ危機や安全保障政策、憲法改正、物価高への対応、エネルギー政策、少子化問題などを主な争点に舌戦を繰り広げてきた。
【社説】安倍元首相死去 言論封殺の許されぬ蛮行だ
参院選の演説中だった自民党の安倍晋三元首相が、銃撃され死去した。言論を暴力で封殺する蛮行は決して許されない。あすの投開票日の直前というタイミングで、しかも政策表明をしている最中の犯行は民主主義への挑戦でもある。
【社説】英首相辞意表明 刷新果たし保守党政権継続を
英国のジョンソン首相が与党保守党の党首を辞任し、首相在職は次期党首が選出されるまでとする意向を表明した。強力な指導力で英国の欧州連合(EU)離脱を進め、ロシアのウクライナ軍事侵攻に対しては厳しくロシアを非難し、積極的なウクライナ支援を実行してきたが、政権内の不祥事が重なり残念な結果になった。
【社説】KDDI障害 混乱長引かせた責任は重い
KDDIの大規模通信障害は発生から復旧確認まで86時間を費やし、携帯電話の通話やデータ通信サービスにとどまらず、自動車や運輸、物流、金融、電力など広く産業界に混乱が波及した。このような事態を招いた責任は極めて重い。KDDIは再発防止を徹底すべきだ。
【社説】環太平洋合同演習 中国の脅威に共同対処を
米海軍が主催する多国間訓練「環太平洋合同演習(リムパック)」が8月4日まで米ハワイ沖などで行われている。東・南シナ海で覇権主義的な動きを強めるだけでなく、南太平洋などでも海洋進出を図る中国の脅威への共同対処能力を高めるべきだ。
【社説】「同性婚」否定判決 婚姻の意義を再確認させた
大阪地裁は「同性婚」を認めない民法などの規定に「合憲」との判断を示した。昨年3月に「違憲」判断を下した札幌地裁とは対照的に、結婚を男女間のみとすることは「法の下の平等」を定めた憲法14条に違反しないとした。妥当な判断として評価したい。
【社説】少子化対策/子育て支援だけで解決できぬ
今回の参院選の公約で、各党は少子化対策として出産育児一時金や児童手当の増額など子育て支援の強化を主張している。だが、少子化の流れを大きく変える力があるとは思われない。
【社説】6月日銀短観 原材料高・円安が重荷に
原材料の価格高騰や円安進行が製造業を中心に企業に重くのし掛かっている――。日銀が発表した6月の全国企業短期経済観測調査(短観)が浮き彫りにした企業の現況である。
【社説】香港返還25年 強権が消した自由都市の灯
四半世紀前の香港返還時、国際社会は「中国の香港化」に期待を寄せた。自由と民主主義が根付いた香港の活力が、北京の強権統治に風穴を開けてくれるものと思われたからだ。しかし、結果は「香港の中国化」でしかないという皮肉なものになった。
【社説】G7サミット ウクライナ勝利へ全面支援を
先進7カ国首脳会議(G7サミット)がドイツ南部エルマウで開催された。討議には、ロシアによる侵略が続くウクライナのゼレンスキー大統領がオンラインで参加し、対露制裁の強化と軍事支援継続を求めた。
【社説】参院選と物価高/負担軽減策は実効性が重要
生活必需品の値上げが相次ぐ中での今回の参院選。ガソリンや電気・ガスなどエネルギー関連まで含め、家計への負担は重くのしかかり、経済への悪影響も懸念される。
【社説】米最高裁中絶判決 生命を守る草の根運動の勝利
米連邦最高裁が人工妊娠中絶を憲法上の権利と認めた1973年の「ロー対ウェイド判決」を覆す判断を下した。半世紀にわたる保守派の悲願が成就した瞬間であり、米国で人間の生命を尊重する運動が歴史的な勝利を収めたことは、日本を含め世界各国に好影響をもたらすものとして歓迎したい。



