社説
【社説】LGBT法案提出 日本の社会に分断もたらす
自民、公明両党が「LGBT理解増進法案」の修正案(与党案)を先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)開幕前日、衆院に提出した。定義の曖昧な文言を含む法案は日本の将来に禍根を残す。成立させてはならない。
【社説】1~3月GDP 内需底固めへ賃上げ継続を
2023年1~3月期の国内総生産(GDP)速報値は、実質で前期比0・4%増、年率では1・6%増と3期ぶりのプラス成長になった。コロナ禍からの経済活動の正常化に伴い個人消費の増加が景気の持ち直しを支える一方、海外経済減速の影響から回復の力強さや持続に課題も残る。海外にマイナス要因が多く期待が持ちにくい中、賃上げの継続で内需の好循環を実現したい。
【社説】広島サミット 中露にG7の結束を示せ
先進7カ国首脳会議(G7サミット)がきょう、広島市で開幕する。
ウクライナを侵略したロシア、海洋進出をはじめ覇権主義的行動を強める中国、核・ミサイル開発を進める北朝鮮の脅威などで国際秩序が揺らぐ中、法の支配を守り抜くため、日本は議長国として議論を取りまとめる役目を担う。価値を共有するG7の結束を示すべきだ。
【社説】信教の自由報告書 国家が行う宗教弾圧に警鐘を
米国務省は世界の「信教の自由」に関する年次報告書を発表し、中国がイスラム教徒であるウイグル族、チベット仏教徒、キリスト教徒、法輪功学習者への弾圧を続けていることを非難するとともに、日本では安倍晋三元首相暗殺後の世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に対する政府の質問権行使や国会の動きを注視した。
【社説】タイ総選挙 曲がり角のタイ式民主主義
タイ総選挙は大方の予想を裏切り、野党革新派の前進党が第1党に躍り出た。対する親軍2党は惨敗を喫し、議席数を合計しても前進党の半分でしかない。タイ国民は、2014年のクーデター以後、長く続いた親軍政治に飽き飽きし、政治に新しい風を期待した。
【社説】LGBT法案 自民党は国会提出を考え直せ
自民党がLGBT理解増進法案をG7広島サミット前に国会に提出する方針だ。法案は社会の性秩序を乱し、女性や子供を危険にさらすことが強く懸念される。党執行部は提出を考え直すべきだ。
【社説】孔子学院 懸念される中国への支持拡大
政府は、早稲田大や立命館大など国内の少なくとも13大学に、中国政府による中国語や自国文化の普及を目的とした教育機関「孔子学院」の設置が確認されているとの答弁書を閣議決定した。孔子学院は、中国共産党が影響力を拡大し宣伝工作を進めるための組織だと言われている。一党独裁体制を敷いて人権を弾圧する中国共産党への支持が、日本の学生や大学関係者の間で広がることが懸念される。
【社説】銀座強盗/「闇バイト」の指示役摘発急げ
東京・銀座の高級時計店に覆面姿の3人組が押し入って腕時計などを奪う事件が発生した。逮捕された4人の少年は、SNSで強盗の実行役を募集する「闇バイト」に応募した可能性がある。警察は実行役を使い捨てにして利益を得る指示役の摘発を急がなければならない。
【社説】G7と人工知能 民主主義守るルール作りを
先進7カ国(G7)が群馬県高崎市で開いたデジタル・技術相会合では、人工知能(AI)を適切な規制の下で活用して「信頼できるAI」を目指す共同声明が採択された。革新的な技術のルール作りに関して、民主主義の理念に基づく「5原則」を表明したことは評価できる。
【社説】露戦勝記念式典 隠せない侵略国になった矛盾
ウクライナを侵略しているロシアが、旧ソ連による対ドイツ戦勝記念日の式典を行い、「本物の戦争を仕掛けられている」とプーチン大統領は演説した。奪われた領土を取り返そうと必死に抗戦するウクライナ軍と同国を支援する国際社会に対し、自ら始めた侵略戦争を正当化しても信じる者はいない。ロシア国民を戦場に送ることなく一日も早く軍を撤収すべきだ。
【社説】サイバー攻撃 「能動的防御」の導入急げ
サイバー攻撃への対処を巡って、防衛省は今後5年間で専門の自衛隊員を現在の4倍超に増やすなどし、要員を約2万人体制とする。サイバー防衛体制の脆弱性を克服すべきだ。
【社説】「5類」移行/特性に留意し警戒続けよう
新型コロナウイルスの感染症法上の位置付けが、きょうから季節性インフルエンザと同じ「5類」に移行する。3年以上に及んだ新型コロナ対策は大きな区切りを迎え、感染対策は個人の判断に委ねられるが、今後も新型コロナの特性に留意し、注意を怠らないようにしたい。
【社説】LGBT法案 性秩序の破壊につながる
LGBT理解増進法案の自民党内議論が連休明けに再開される。与野党内の推進派は、G7広島サミットまでの成立を主張する。だが、法案は出生時の性別を根幹とする性秩序を崩壊させてしまう危険性をはらむ。
【社説】アフリカ歴訪 地域の安定と発展につなげよ
岸田文雄首相が広島市で開く先進7カ国首脳会議(G7サミット)を前にアフリカ4カ国とシンガポールを歴訪し、各国首脳と「法の支配」に基づく国際秩序を維持する重要性で一致した。「自由で開かれたインド太平洋(FOIP)」の実現につなげるべきだ。
【社説】こどもの日 未来の希望を産み育てよう
きょうは「こどもの日」。子供は未来を担う、将来の主役である。子供がいなければ、未来への希望はない。子供を産み育てることは、希望を育てることであり、これほど尊く素晴らしいことはない。
【社説】米比首脳会談 南シナ海の公海の自由を守れ
米国のバイデン大統領とフィリピンのマルコス大統領が米ホワイトハウスで首脳会談を行い、中国の南シナ海進出を念頭に新たな防衛協力の指針をまとめた。中国は一方的に南シナ海の領有を主張し、武装した海警局公船の動きを活発化させており、不測の事態を招きかねない。フィリピンの防衛を強化する米国の支援を歓迎したい。
【社説】憲法記念日 国会は改憲へ責任果たせ
76回目の憲法記念日を迎えた。戦後占領期に連合国軍総司令部(GHQ)の主導で制定された現行憲法は、この間一言一句変わらずわが国の最高法規であり続けている。国内の社会情勢や国際的な安全保障環境は激変し、独立主権国家として生き残りをかけた重大な時期を迎えながら、国防や緊急事態に関する根本規定を欠いたままであることは政治の怠慢と言わざるを得ない。国会は衆参両院の憲法審査会の議論を活性化し、憲法改正原案を作って国民に問うという本来の責任を果たすべきだ。
【社説】テロ対策 メディアは報道の仕方改めよ
今月は広島市で先進7カ国首脳会議(G7サミット)が開かれる。日本では昨年7月の安倍晋三元首相銃撃事件に続き、先月には岸田文雄首相の遊説中に爆発物が投げ込まれる事件が発生するなど、政治家を標的にしたテロが相次いでいる。サミットに向けて警察が万全の対策を講じるだけでなく、メディアのテロに対する報道の仕方も改めるべきだ。



