「緊急事態」無規定に疑問を 新しい憲法をつくる国民大会 現行憲法は統治目的

新しい憲法をつくる国民大会であいさつする清原淳平 会長(中央)=3日午後、都内で(加藤玲和撮影)

憲法記念日の3日、改憲派団体の「新しい憲法をつくる国民会議(=自主憲法制定国民会議)」は都内で大会を開いた。同団体の清原淳平会長は「独立主権国家の憲法には、当然のこととして緊急事態への対処条項が明文化されている」とした上で、日本国憲法に緊急事態に関する規定がないことについて「国民の皆さまにはまず疑問に思っていただきたい」と訴えた。

清原氏は大会前に報道陣の取材に応じ、「現行憲法は日本を統治するために作られたもので、日本のために作られたものではない」と指摘。講演の中で、主な「緊急事態」として①自然災害②原発などの人工物による災害③疫病の流行④外国からの武力攻撃・侵略――を挙げ、基本的人権が制約を受けるような非常時を想定した条文を憲法に明記するよう求めた。また内閣総理大臣に指揮権があることを明記した上で、憲法で自衛隊を軍隊として位置付けるべきだとした。

大会ではまた、政治評論家の●橋利行氏や元参院議員で教育評論家の小林正氏、自民党の平沢勝栄元復興相、日本維新の会の小野泰輔衆院議員が講演。●橋氏は、世界で最も民主的と言われたドイツの「ワイマール憲法」の下でナチスが生まれたことに触れ、「日々変わっていく現実に対処して改革していかないと、とんでもないことが起きるかもしれない」と危機感を示し、早期の改憲を求めた。

小林氏は日本周辺の安全保障環境に懸念を支援した上で、「ロシア、中国、北朝鮮と国境を接するわが国がどう生き延びるかの瀬戸際に立たされている」とし、「来る衆院総選挙では、各党が改憲を最大の争点として国民に選択を求める形を作っていただきたい」と語った。

また大会では「憲法改正川柳コンクール」の優秀作品227句を発表。大賞1句、佳作6句が紹介された。

●=はしご高