
福島県の只見町は日本屈指の豪雪地にあり、面積の9割以上が山林だ。標高は最も低い所で360㍍。山々は1000㍍前後で、最高峰は丸山岳1820㍍。国土地理院の地図には102の山名が記載され、全国の市町村のトップ。
そのような環境から、平成19年には「自然首都・只見」を宣言。日本の自然の中心地、という意味だ。その町はずれに、ただみ・ブナと川のミュージアムがある。只見町ブナセンター内の施設だ。
このミュージアムでは、ジオラマや展示物によって只見町の自然環境を紹介していて、その全体像を短時間で理解させてくれる。
ブナの森の四季をハイビジョン映像で示し、動植物の各種資料がそろっており、地質・地形・気候の紹介と共に、自然が育てた狩猟や漁労の民具の数々や、植物を使った工芸品類を見せてくれる。
驚かされたのは剥製イワナの大きさ。ニッコウイワナという種類で、サケとほぼ同じ大きさ。これが田子倉湖にいるそうだ。
その特異な自然環境を保護し、伝統的な生活を生かすために、ユネスコエコパークを推進している。土地利用を四つに区分して、その利用の仕方を段階別に規制している。
興味をそそったのは特異な山と森の姿だ。雪崩によって緑色凝灰岩(ぎょうかいがん)の岩盤が削られ、森林が発達せず、低木林と草付きで形成される。
森林があるのは斜面下部や谷底で、ブナもここで育つ。が、トチノキやカツラ、サワグルミなど畦畔(けいはん)樹種と混じって、多様な森林群集を構成するという。
(増子耕一、写真も)



