
「芸術は爆発だ!」の合言葉、大阪万博の「太陽の塔」などで知られる前衛芸術家、岡本太郎(1911~96)芸術の全容とその生涯を回顧する「展覧会岡本太郎」が、東京都美術館で開かれている。川崎市岡本太郎美術館、岡本太郎記念館に加え他の美術館などの所蔵品を一堂に集め、ニューヨークのグッゲンハイム美術館所蔵「露店」は約40年ぶりの里帰りとなる。
会場に入ると出迎えてくれるのが、彫刻「若い夢」。大きな目を見開いて無邪気な笑顔を浮かべる顔をかたどったものだ。岡本太郎は誰よりも早く縄文土器の美的価値を発見したが、この作品には現代版の土偶の趣がある。
絵画作品では、フランス留学時代、国際シュルレアリスム・パリ展に出品され高い評価を受けた「痛ましき腕」(1936年)など初期作品から、岩手の民俗舞踊「鹿踊(ししおど)り」に着想を得た「愛撫」(1964年)、さらにはメキシコのホテルのために制作され、修復を経て渋谷駅に設置された巨大壁画「明日の神話」の下絵なども展示する。
対立するものを一つの作品の中に共存させる「対極主義」の芸術の特徴をよく表した「森の掟」(1950年)など代表作から、さまざまな彫刻、オブジェ作品も多数展示され太郎ワールドを体感することができる。東京展は28日まで、来年1月14日からは名古屋市の愛知県立美術館に巡回する。
(藤橋進)



