日本の人権状況日々悪化
検討会が「信者の精神的な恐怖感」による寄付を禁止しようとしていることについて、追加報告書は「永遠の救いを失うことへの恐怖は一神教の構成要素だ。イスラム教徒、ユダヤ教徒、キリスト教徒は死後に地獄に行くことを怖(おそ)れている」と指摘。「どの宗教でも『精神的な恐怖感』によって信者が導かれる善行の中に宗教組織への施しや寄付がある。これは統一教会だけの特徴ではなく、精神的な恐怖感の健全な意義を説く者を法律で規制すれば、ほとんどの宗教を法律で規制することになる」とし、曖昧な定義に基づく寄付の制限はすべての宗教を抑圧することになると警告した。
追加報告書はさらに、消費者庁に寄せられた「霊感商法」に関する相談件数のデータでは、2021年は旧統一教会に関する相談が全体の1・87%にすぎなかったことを挙げ、「統一教会だけを槍玉(やりだま)に挙げるのは著しく差別的であり不当だ」と主張した。
一方、政府が設置した合同電話相談窓口には、9月5~22日に1952件の苦情が寄せられ、旧統一教会関連が1317件を占めた。追加報告書は、苦情が突如増えたことは旧統一教会への敵意が煽(あお)られた結果であるとし、「電話相談窓口は統一教会に対する魔女狩りであること以外、何も証明していない」と非難。「『霊感商法』に関する苦情件数は統一教会以外の団体が圧倒的に多く、統一教会が有効な措置を講じた結果、長年にわたり件数が大幅に減少していることを消費者庁自身のデータが証明している事実を無視している」と指摘した。
追加報告書は結論として、「最も残念なことは、日本の状況が日々悪化していることだ。統一教会・家庭連合をめぐるヒステリーは、日本の人権や宗教・信条の自由を守るために自由権規約によって築かれた防護壁を破りつつある」と主張し、国連自由権規約人権委員会に緊急対応を求めた。
国連自由権規約人権委員会は、1966年に国連総会で採択された自由権規約の実施を監督する機関。日本は79年に同規約を批准。今月10日から来月4日まで開かれている同委員会では、日本の人権状況の審査も行われている。



