秋田県三種町の宮田紘孝さん

拾ってきた石に絵を描く「石ころアート」を10年以上続けているのが、秋田県北部の三種町(みたねちょう)に住む宮田紘孝さん(82)。自身を「路傍の石愛好者」と呼ぶ。果物、魚、アニメのキャラクター、そして風景と絵柄は多種多様。ワークショップも開き、愛好者が増えている。
70歳を過ぎて、医者から「歩いたらいいよ」と言われた宮田さん。家の近所を歩き2、3個の石を拾ってきた。それが始まりだった。近くの海岸にも足を伸ばすなどし、車庫の周りは石ころだらけに。
石を洗っているうちに「リンゴがいいか、ナシがいいか」と石に問い掛けたら「リンゴ」と言っている気がして描いたのが最初。90歳すぎの母親が「おめ作ったの? 上手だね」と褒めてくれた。

また一つ作ると「おーっ、上手だごと」と褒められる。次々に石にアクリル絵具で描き、つや出しスプレーをかけた。
それから約10年。自宅には数えきれないほどの作品がたまっている。
アユやサケの切り身などの魚シリーズ、みかんやスイカ、メロンなどの果物から、アニメのキャラクター、水鳥、アザラシ、ペンギン、おにぎり……。一つの石をとっかえひっかえ眺めているうちに絵が浮かぶ。あるいはこの絵を描きたいと思い石を探すことも。
最近では、横長の平たい石に額縁付きの風景を描くシリーズや、木の板に張り付ける作品も作る。“どんなにお金を積まれても売らない”そうで、石は増えるばかり。
このユニークな石ころアートが注目され、近在の公民館や図書館など各所でミニ作品展が開かれてきた。
9月初旬開催の「能代公園おもしろアート秋祭り」にはワークショップに参加した皆さんの作品も展示した。
(伊藤志郎、写真も)



