【解説】野党の術策にはまった自民党

自民党は世界平和統一家庭連合(旧統一教会)や関連団体との関係について点検し、179人の接点があったと報告した。しかし、違法性のないことまで敢えて質問して回答を求めたのは、安倍晋三元首相の銃撃犯が旧統一教会に恨みを持つ人物だったとの警察情報によって巻き起こった同教団批判と政治家の関係を暴き立てる報道が過熱したことが背景にある。

ただ、祝電や1万~2万円程度の会費支払い、パーティー券購入など些細(ささい)な内容ばかりで、問題視しようとするのは明らかに行き過ぎだ。

自民党は同教団と関連団体との断絶の徹底を宣言し、点検結果を公表することで幕引きを図ろうとしているが、今後も小さな事案を新たに疑惑にされる可能性もある。100万人以上の党員を有する同党に信者がいた場合は、信教の自由、思想・信条の自由に関わる恐れもあろう。

何よりも、同教団による被害とされる内容や規模について、ほぼ全面的に全国霊感商法対策弁護士連絡会の統計や主張だけに依存し、政府として調査を行う前から、関係を断絶するという判断を下したのは余りにも拙速だ。

銃撃事件を契機に教団や関係団体との接点を疑惑化して自民党を追及しようとする野党の術策にはまったと言えよう。

(編集局長代理・窪田伸雄)