企画展「白瀬隊のペンギン」 秋田

日本人が初めて接した水鳥

今から約百年前、白瀬矗(のぶ)を隊長とした白瀬南極探検隊は南極に向かう海上で、船をめがけて遊泳してくる水鳥(みずどり)を網で捕獲した。日本人が初めて接したペンギンだった――。数多くのペンギンとの出合いを、隊員らの記録した絵と文章、写真、映像で紹介する企画展「白瀬隊のペンギン」が秋田県にかほ市の白瀬南極探検隊記念館で開かれている。

初めての遭遇は明治44(1911)年2月17日だった。午前8時30分ころ、海獣類に似た水鳥が船に接近してきたので、長い竿(さお)に袋を付けて捕獲した。隊員の一人はニュージーランドの博物館で見ていたが、実物は初めて。船員はみな興奮した。このペンギンは自然死の後剥製にされ、7月には南極探検を支援した大隈伯爵を通じ明治天皇に献上された。

ペンギンは初め、隊員を恐れることがなく、写真ではおとなしく隊員に抱きかかえられる姿が写っている。

白瀬隊は南極の夏を待つためいったんシドニーに寄港し、再び南極に向かった。翌45年1月18日、今度はコウテイペンギンが突然氷上に現れた。身長約105センチ、体重は約23キロだった。

企画展の一角に、ペンギンの説明コーナーがある。ペンギンは主に南半球に18種類いるが、半数は絶滅危惧種に。南極(南緯60度以南)に生息するのはコウテイペンギン、アデリーペンギン、ヒゲペンギンなど5種類。同展は11月6日まで。

(伊藤志郎)