拷問や性暴力の実態証言 ウイグル問題 米下院特別委公聴会

中国政府関係者に制裁を

中国新疆ウイグル自治区における強制収容所での体験を 証言したケルビヌル・シディクさん。左はグルバハール ・ハイティワジさん(山崎洋介撮影)

【ワシントン山崎洋介】中国問題を集中的に扱う米下院の「米国と中国共産党の戦略的競争に関する特別委員会」は23日、中国新疆ウイグル自治区における少数民族弾圧をテーマとする2回目の公聴会を開催した。強制収容所に入れられた経験のある女性らがその実態を証言したほか、ウイグル問題を研究する専門家は、弾圧に関与した中国政府関係者への制裁などを求めた。

2017年に強制収容所に教員として送られたケルビヌル・シディクさんは、収容者たちは手足に手錠を掛けられ立つことができず這(は)って教室まで移動していたと証言。教室近くの尋問室からは「拷問による恐ろしい叫び声」が聞こえてきたという。

シディクさんはまた、収容所の警備員が「尋問している女性を集団でレイプしていた」と語った。少女がレイプされた後に大量に出血し、死亡したケースもあったと涙ながらに訴えた。中身の分からない薬を飲むことや、子宮内避妊具(IUD)の装着を強制されたとも述べた。

2年半にわたる収容所の体験記を出版しているグルバハール・ハイティワジさんは「1日に11時間かけて、歴史などの洗脳教育を受け、さらに紅歌(中国共産党の革命歌)を歌わなければならなかった」と収容所の生活について語った。食事前後に中国共産党や習近平国家主席に対する感謝を述べることも強制されたほか、収容所内でウイグル語を話した場合は、拷問を受けたという。

韓国系のミシェル・スティール議員(共和党)は、「私には北朝鮮から逃げてきた家族がいて、その話は聞いていたが、皆さんの話はそれよりもずっとひどいものだ」と強調。「われわれは黙っているわけにはいかない。中国共産党は、民主主義に対する最大の脅威だ」と非難した。

米非営利団体「共産主義犠牲者記念財団」のアドリアン・ゼンツ上級研究員は、「習近平氏の極秘演説によると、新疆における民族的抵抗運動を抑えることは、中国共産党が21世紀の主要目標を達成するために最も重要であるとしている」とし、ウイグル弾圧の背景に中国政府の国家戦略があることを強調。提言として、米政府は、ウイグル弾圧に関与した中国政府関係者に制裁を加えるべきだとしたほか、米国の投資家が、人権侵害、監視、軍事の近代化に関与している中国企業に投資することを防ぐための措置を講じるよう求めた。

同委のギャラガー委員長(共和党)は「『ホロコーストの時代に生きていたら、自分はどうしただろうか』と考える人は多いが、今日、われわれは『知った以上、何をするべきか』と問い掛けるべきだ」と述べ、行動に移すことの重要性を訴えた。