TikTok、CEO初証言 米議会公聴会で超党派議員から集中砲火  

米議会で初証言した中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の周受資・最高経営責任者(CEO) 23日、米首都ワシントン(山崎洋介撮影)

【ワシントン山崎洋介】中国系動画投稿アプリ「TikTok(ティックトック)」の周受資・最高経営責任者(CEO)が23日、米議会の公聴会で初めて証言した。利用者データが中国政府に流出しているとの懸念が高まる中、周氏は中国政府の影響を否定するなどして疑惑払拭(ふっしょく)に努めたが、党派を超えた議員からの厳しい追及はやまず、集中砲火を浴び続けた。

米下院委員会の公聴会で5時間以上にわたって続いた応酬の中で、周氏は「中国政府が米国の利用者データにアクセスした証拠はない」と主張。米国の利用者データは、米国内で米企業が管理するようにする方針も示した。しかし、質問に対し、直接的に回答しない場面も目立ち、「あなたの証言は、答えよりも多くの疑問をもたらした」(民主党のブラント・ロチェスター議員)などと、懸念を鎮めることはできなかった。

焦点の一つとなったのは、親会社の中国IT大手・字節跳動(バイトダンス)がTikTokの利用者情報にアクセスできるかということだった。昨年には、バイトダンスがTikTokを使って米メディア記者らの位置情報や個人データを取得したことが発覚し、問題の従業員を解雇した。これに関して、バイデン政権は、米国の利用者情報に不正アクセスした疑いで司法捜査に着手している。

共和党のボブ・ラッタ議員は、バイトダンスの従業員が米国人の利用者データにアクセスできるのかと追及。これに周氏は「複雑な問題だ」などとして、回答を避けた。別の議員はバイトダンスが中国共産党の指示で「米国人をスパイしているのか」と質問したが、周氏は「『スパイ』という言葉が適切だと思わない」などと交わした。

また、共和党のデビー・レスコ議員から 「中国政府がウイグル族を迫害していることに同意するか?」と3度尋ねられた際、周氏が繰り返し回答を避ける場面もあり、中国政府からの影響を強く印象付けた。

バイデン米政権はバイトダンスにTikTokの売却を迫っているが、公聴会の直前、中国商務省はTikTok売却に「断固反対」(報道官)を表明した。これに関し、民主党のダレン・ソト議員から「TikTokはバイトダンスや中国共産党との関係を断ち切る用意があるのか?」と尋ねられたが、周氏は 「どの国の企業が所有するかは問題ではない」と反発した。