
【ワシントン山崎洋介】米軍は14日、黒海の上空で、米空軍の無人機MQ9がロシア軍の戦闘機の妨害を受けて衝突し、墜落したと発表した。米軍とロシア軍の接触が確認されたのは、ロシアによるウクライナ侵攻が昨年2月に始まって以来、初めてで、米露関係に緊張が高まっている。

米軍によると、14日に黒海上空の国際空域を飛行していた米軍の無人機に対して、ロシア軍のスホイ27戦闘機2機が前方を遮ったり、燃料を投棄したりするなどした。そのうち1機が、米無人機のプロペラに衝突したという。米軍の欧州軍は声明で、ロシアの戦闘機の行為について「危険かつプロフェッショナルではないことに加えて、能力の欠如を示している」と非難した。

米空軍によると、無人機はロシア軍機と衝突した際、国際空域で通常の監視・偵察任務を行っていた。ロシアの戦闘機は、衝突するまでの30~40分間、無人機の周辺を飛行していた。衝突により、ロシアの戦闘機も墜落する危険があったという。国防総省のライダー報道官は、衝突によりロシアの戦闘機も損傷を受けた可能性が高いとしている。
無人機の墜落を受けて、米国務省は、ロシアの駐米大使を召喚し抗議した。一方、ロシア国防省は「2機の戦闘機は武器を使用せず、無人機と接触することなく、無事に自国の飛行場へ帰還した」と主張した。これに対し、ライダー報道官は、衝突に関する映像について「機密解除の手続きを進めている」として、公開する可能性を示した。



