【ポイント解説】ソウルでのもてなしに関心
3月23日付本欄で「広島サミット前に岸田首相が韓国を訪問することも必要ではないか」と書いた。尹錫悦大統領が対日関係改善に前のめりになっている今こそ好機だ。首相の訪韓は至極妥当な判断である。
訪米中の尹大統領の「歴史問題脱却」発言は日本政府の決断を促す決定打となったはず。これで岸田首相が訪韓しても、改めて謝罪や反省を求められることはないと見極められた。
ただし、韓国世論がこれで収まるかは別問題である。野党や左派勢力に限らず、こと歴史問題に関して韓国民の感情は一致して厳しい。その中でセゲイルボは日本の空気も伝えながら、「謝罪と反省には言及しないだろう」との予測を載せた。
いたずらに“謝罪があるべきだ”として、岸田首相の足を止め、尹大統領のハードルを上げる必要はない。
慰安婦問題でも同様で、外相として2015年の日韓合意を結んだ岸田氏としては「解決済み」だ。ボールは韓国側に渡っており、後は履行があるだけだ。
日韓首脳会談で思い出されるのは2015年安倍晋三首相がソウルを訪れた時のことだ。青瓦台で会談を終えた安倍首相を送る朴槿恵大統領が「これからどうされますか」と問うた。ころは昼食時である。「近くの店で食べて帰ります」と答え、仁寺洞の韓国料理屋に向かった。韓国で客人に食事も出さずに帰すのは非礼でもあり恥でもある。朴氏の本意ではなく秘書陣の“策略”だと思いたい。それが朴女史に赤っ恥をかかせた。
尹氏は3月の来日では銀座のすき焼き・しゃぶしゃぶ専門店「銀座吉澤」、2次会は「煉瓦亭」で好物のオムライスとヱビスビールを堪能した。岸田氏は政界きっての酒豪と聞く。ソウルでの尹氏のもてなしに関心が向く。
一気に日韓関係が好転することは難しいが、こうした話題が重なりながら、懸案や実務をこなしていく。韓国メディアには岸田氏の酒量報告を頼みたい。
(岩崎 哲)



