北朝鮮最高幹部、核魚雷「佐世保も標的」 在中幹部に新型兵器巡り言及 攻撃用ドローン開発にも意欲

4日から7日まで北朝鮮・咸鏡南道沖合の日本海で行われた 「核無人水中攻撃艇」の試験(朝鮮通信・時事)

北朝鮮の弾道ミサイル開発に深く関与してきた最高幹部の李炳鉄・朝鮮労働党中央軍事委員会副委員長が、先月から今月にかけて公開された新型兵器の核魚雷「核無人水中攻撃艇」について、海上自衛隊が駐屯する佐世保港も標的にしていると複数の幹部に述べていたことが分かった。中朝関係筋が24日本紙に明らかにした。北朝鮮の核水中攻撃艇の具体的な攻撃目標が判明するのはこれが初めて。(ソウル・上田勇実)

同筋によると、李氏は治療のため先月初めから約1カ月間にわたり中国に極秘滞在し、見舞いに訪れた朝鮮国防科学研究所中国代表部のナム・チョンガク氏や李龍男・駐中大使などに対し、核水中攻撃艇と無人機(ドローン)の性能向上を図るため西側の情報を収集するよう指示した。

その際、李氏は核水中攻撃艇の標的について、航続距離600㌔とされる「ヘイル(=津波)1」は北朝鮮の周辺海域に侵入してくる原子力空母などの航空母艦であるとし、航続距離1000㌔の「ヘイル2」は海上自衛隊が駐屯する長崎県の佐世保港や米軍基地のあるグアムだと明らかにしたという。

また李氏は、現在開発中の核水中攻撃艇の速度を100ノット(時速185・2㌔)から一挙に3倍の300ノット(時速約556㌔)まで速めることが課題だとし、技術面の関連資料を収集するよう求めたという。

佐世保港は北朝鮮の弾道ミサイルを迎撃するミサイル「SM3」を搭載した海自イージス艦の拠点。昨年7月には、国連安全保障理事会の制裁を逃れるため北朝鮮が洋上で船荷を積み替える「瀬取り」を監視する任務で、オーストラリア海軍のフリゲート艦が寄港している。同港は海上対北抑止の要所だ。

北朝鮮メディアは核水中攻撃艇について「ひそかに作戦海域に潜航し、水中爆発で超強力な放射能(物質を含む)津波を引き起こし、敵の艦船や主要な港湾を破壊、消滅させること」が目的だと説明している。

一方、李氏はドローンについても言及。偵察用と攻撃用のドローン開発が西側諸国に比べ遅れているため、関連資料の収集を指示したという。昨年12月、北朝鮮のドローン5機が軍事境界線を超えて韓国領空を侵犯し、そのうち1機がソウルの大統領室上空付近を通過していたことが判明、波紋が広がった。

李氏の発言は北朝鮮の機密事項だが、「厳しい統制下に置かれる国内とは異なり、海外で警戒心が緩む中なされた可能性がある」(同筋)という。