【ポイント解説】気付けば頭上に核3000発
ロシアも中国も北朝鮮も核戦力増強を続け、核兵器削減や抑止政策をとってきた米国をはじめとする民主陣営は気付いてみれば完全に後れを取っていた。
いい例が北朝鮮で、1990年代から国際社会は北朝鮮の核開発を諦めさせようとあの手この手を駆使してきたが、「核こそ国家保全の道」との確信と決意を取り下げず、金日成主席の“初志”を3代にわたって貫徹して、今や核保有国の隊列に並ぼうとしている。
その一方で韓国は左右の政権交代を繰り返し、外交・安保政策は右往左往した。現在は保守政権になっているが、金大中、盧武鉉、文在寅の3代左派政権では、結果論だが、北朝鮮に核開発の猶予を与え、自由民主の同盟関係を壊し、それは民主陣営にしてみれば“利敵行為”とも呼べる迷走ぶりだった。
そして気付いてみれば頭上に3000発の核ミサイルを載せることになったというわけだ。事情はわが国も同じで、だから米国と共に、相手がたとえ左派政権であろうとも日米韓の安保協力の緊要性は口が酸っぱくなるほど訴えてきた。
今ようやく韓国は保守政権となり、さまざまな安保協力に韓国も加わろうと模索し始めている。ただ不安なのはその韓国政府がいつ腰砕けになるか分からないという点である。保守政権とはいえ、いわば「51対49」で政権基盤は弱く不安定だ。国内事情によっては、いま日米韓協力に振れている振り子が、いつ揺り戻っていくかも分からない。
保守論壇ですらいまだに「協力を模索」と慎重にものを言わねばならない状況をみると、左右に引き裂かれた韓国世論が「生存」に直結する安保問題ですら、一つになるのは難しいと見ざるを得ない。
(岩崎 哲)



