【韓国紙】“強制動員”解決策後にすべきこと

6日、ソウルで元徴用工問題の解決策を発表した韓国の朴振外相(ロイター時事)
6日、ソウルで元徴用工問題の解決策を発表した韓国の朴振外相(ロイター時事)

韓日信頼のインフラ拡大を

尹錫悦政権の対日政策認識の転換は強制動員(元徴用工問題)の解決策に多くの影響を及ぼした。尹政権は以前の政府とは違って日本を急変する国際情勢の中で価値を共有する協力パートナーとした。自由、民主主義、市場経済の価値を共有している韓日両国が協力するのは時代的要求だと認識したのだ。

このような認識を土台に、被害者が賠償金を先にもらうようにすることが現在の韓日関係と周辺国情勢、両国の世論を考慮する時、現実的だと判断した。すなわち、被害者の権利実現方法を無視し、日本の謝罪を優先しなければならないという主張は現実性がないというのだ。被害者にとって実質的に役に立つ解決策を提示して未来に進もうと主張した。

こうした尹政権の対日政策認識の転換が成果を上げるためには未来を設計する戦略的努力が重要だ。まず、未来に進むためにも過去の歴史を巡る対立の管理により一層関心を傾けなければならない。今回の解決策でも被害者の不満が解消されたわけではない。被害者の心を慰撫する政策的努力が並行しなくては韓日関係の改善も国内の不満により砂上の楼閣になり得る。従って早急に尹大統領は被害者と会って彼らの心をつかむ措置が必要だ。

尹政府の解決策も定着する過程で韓国人の感情を刺激する多くの難題が残っている。今月の教科書検定から、福島の汚染水問題、佐渡金山の世界遺産登録など、韓日対立の種はぞろぞろ続く。こうした地雷畑の中で強制動員問題が管理されるためには尹政権の持続的な努力が必要だ。

次に、尹政権は立法府と共に過去の歴史問題に対する根本的な解決を模索しなければならない。植民地問題の国内被害者の不満は現在の大法院(最高裁)判決で勝訴した強制動員被害者だけで終わらない可能性が高い。すでに多くの被害者が政治的な争点にしようと政界を圧迫している。

従って日帝強制占領期(日本統治期)の被害者対策を一時的でなく長期的な次元で用意するためには、与野党の政治家も政争よりは国益の観点で対日政策を眺めなければならない。

3番目に、韓日両国は直ちにできる簡単な協力から積極的に進めて信頼を拡大する努力が必要だ。尹政権が解決策を発表したからといって韓日関係が直ちに改善されるのではない。特にその解決策で日本の呼応措置が不十分な場合、韓国内の不満は依然、残らざるを得ない。

とはいっても、過去の歴史問題に対するわれわれの道徳的主張を執拗(しつよう)に主張するのではなく、方法論を変えなければならない。未来世代の交流を活性化して韓日信頼のインフラを拡大する作業が優先されなければならない。これは尹政権の主張と脈絡を共にする。

これと関連し、国際社会において平和と繁栄の目標を共有する日本を度外視する必要はない。自由と市場経済の価値を共有する基盤の上に共に協力することは国際社会で韓国が進む道だ。

(陳昌洙(チンチャンス)世宗研究所日本研究センター長、3月8日付)