【韓国紙】命懸けで韓米相互防衛条約締結した李承晩

【ポイント解説】注目される尹氏の米国土産

朝鮮半島に核危機が迫る中、尹錫悦大統領が口にした独自核武装の可能性は大きな波紋を呼んでいる。狙いは米国から確実な韓国防衛の保障を引き出すことだ。

その尹大統領の出方がかつての李承晩大統領の執拗(しつよう)な対米交渉を彷彿(ほうふつ)させるというのがこの記事である。分断したまま国家を打ち建てざるを得なかった初代大統領は国土防衛のために相当な無理を重ねた。その過程で無慈悲な軍事鎮圧もあり政敵への攻撃もあったことから「国父」というより「独裁者」として記録されている。

だが韓国防衛の基礎である米韓相互防衛条約を“勝ち取った”粘り強い対米交渉は今日の韓国繁栄の安保上の裏付けを固めたといっても過言ではない。

いま韓国は北朝鮮からの核脅威を受けている。核を持たない国がどうなるかはウクライナ戦争で明らかだ。核保有国が攻めてきても核を持たない国は「挑発の原点を打撃」することができないのだ。

しかし米国は核の再配備は行わないと言っている。表向き「朝鮮半島の非核化」を主張している以上、米国が核を半島に持ち込むと表明するのは矛盾だからだ。では核配備に代わる措置は何かといえば、拡大抑止となる。この季節は米韓の合同軍事演習が行われる。米空軍のB1Bランサー戦略爆撃機、F22ラプターステルス戦闘機など代表的戦略資産を黄海上に飛ばし、嘉手納からは米海兵隊までが参加して、韓国防衛の意志を見せつける。

だが「いつでも裏切りがあり得る」のが外交である。かつて米国自身が米朝修好通商条約を無視して日韓併合を黙認した。大国に翻弄(ほんろう)された歴史から韓国は学んでいる。尹大統領の訪米でどのような土産を持ち帰ることができるのか、米国が何を持たせるのか、注目される。

(岩崎 哲)