北ICBM発射、日米韓の連携訴えつつなお対話路線主張する朝日

中国に借りつくるな

また日経は、ブリンケン米国務長官が対北制裁の効果的な実施を各国に求めたことを取り上げ、「国連安全保障理事会を機能させるには、米中が足並みをそろえるほかあるまい」と論じた。だが、中国に北朝鮮の抑え役を期待して始まった6カ国協議が時間だけを空費する空転協議会でしかなかった歴史を考慮すると、望み薄だ。

そもそも中露の2カ国に拒否権を付与している安保理は、平和の番人たり得ない構造的欠陥がある。何より西側社会にとって、最大の課題は100年マラソンを走る中国の覇権指向の牙を抜くことだ。その中国に借りをつくるような外交カードは愚策でしかない。

一方で日経や読売、毎日社説は日米韓の連携強化を訴えた。日経は「台湾問題も含め、東アジアの安全保障に米国が強く関与するうえで日韓の役割は重く(中略)北朝鮮に隙を見せてはいけない」とし、読売は「日本は米韓と共に北朝鮮への制裁強化を主導すべきだ」と主張した。毎日も「日米韓の結束が試される局面だ」との時代認識を示している。この日米韓の連携のありようこそが、北朝鮮の暴走を止めることができるかどうかの重要なポイントになる。

「抑止に偏重」と懸念

この点、朝日は21日付社説で、「(日米韓)3カ国の協力が欠かせないことは論をまたない」としながらも、「日米韓の議論が抑止の強化に偏重し、対話を再開する意欲が伝わっていないこと」に懸念を表明。さらに「中国の協力が不可欠」とし、「連携して北朝鮮を対話のテーブルに戻す外交力が求められる」といつもの対話路線を訴える。

だが、自由や民主主義、人権といった価値観を同じくしない相手に対話だけ求めても、時間稼ぎに利用されるだけだ。対話を実のあるものにするには相手がそれ以外に生き延びるすべがないと覚悟するようなバーゲニングパワーが必要になる。

国連が平和の番人たり得ない中、地域の平和を構築できるのは価値観を同じくする国家同士の強固な連携に他ならない。

(池永達夫)