北ICBM発射、日米韓の連携訴えつつなお対話路線主張する朝日

18日午後、平壌国際空港で行われた大陸間弾道ミサイル(ICBM)「火星15」の発射訓練(朝鮮通信・時事)

実態を無視した空論

北朝鮮が18日、大陸間弾道ミサイル(ICBM)級の弾道ミサイルを発射し、北海道西方沖の日本の排他的経済水域(EEZ)に落下させた。テレビでも、日本海沖の闇の中で強く光りながら落下する物体が放映され、多くの国民に北朝鮮が発射したミサイルの脅威をまざまざと見せつけた。

さっそく、翌日の朝刊では多くの社が北朝鮮の弾道ミサイル発射を扱った。東京の20日付社説では、「強力な兵器を誇示しても、食料不足すら解決できていない現状では、国民を守っているとは言えない。まず経済再建にこそ優先して取り組むよう求めたい」とした。また日経の20日付社説でも、「核・ミサイルに充てる巨額の費用を経済の底上げに回す。それが絶対権力者が好んで使う『人民大衆第一主義』のスローガンの一歩になる」と主張した。

だがこれは、北朝鮮の実態を無視した空論だ。北朝鮮がICBMを使って本気度を示したいなら、ロフテッド軌道とかではなくずばりロサンゼルス沖辺りに打ち込めばいいのだが、敢(あ)えてそれをしない理由は、戦争になれば負けるのは自分の国だということを熟知しているからに他ならない。

だからこそ、拳で机を激しく叩(たた)きはするが、決して相手の顔にジャブを打ち込むことも腹にボディブローを決めることもない。陸続と打ち上げられるミサイルは、そうした瀬戸際外交の一環だ。

崖っぷちで踊るような瀬戸際外交の目的を、日経は「北朝鮮はICBMで米本土に反撃できる能力を示し、朝鮮半島有事で米軍に攻撃をためらわせようともくろむ」と読む。その通りだが、さらに言えば米国を交渉のテーブルに着かせ、体制存続の保障と金を狙う。そのためには国民の犠牲を厭(いと)わないのが、北朝鮮という独裁政権の性(さが)だ。こうした国に、西側社会の正論を述べても蛙(かえる)の面に小便でしかない。