【韓国紙】国家の未来を脅かす労組「民主労総」

【ポイント解説】繰り返される北の浸透

労働組合幹部が北朝鮮の工作を受け、韓国内で反政府活動、利敵活動を行ったのはこれが初めてではない。北の浸透工作は労組だけでなく、大学生や教員団体、メディア、司法、国会議員にまで及んでいる。

1999年には国家情報院が朝鮮労働党の指揮下にあった韓国の地下政党「民主革命党」を摘発した。同党は89年に結成された大学生組織「反帝青年同盟」(反青)が前身で、幹部は北に密航して工作訓練を受けて南に戻り北工作員の指示を受けて活動していた。

この時に実刑判決を受けた李石基は出所後も地下活動を続け、合法政党「統合進歩党」の主導権を乗っ取り、国会に議席を得る。議員でありながら通信施設や石油備蓄施設の破壊工作を企て当局の摘発を受けて、2013年に内乱陰謀罪で有罪となって再び服役していたが、文在寅政権の時に恩赦を受けて仮釈放された。

80年代に左派学生運動に飛び込み、中心活動家になった者を「運動圏」というが、大半は社会に出て、文政権の閣僚の半数が運動圏出身者で占められていたように、各界各層に浸透した。労組が会社本体を潰(つぶ)しかねない賃上げ要求や長期間のストなどを行うのは「労働者の権利擁護」に名を借りた破壊工作だといっても過言ではない。

こうした事件が繰り返し摘発されるのは、北の工作が続いている証左であり、工作が浸透できる思想的理念的素地がつくられているからだ。今の大学街ではかつてのような催涙弾が飛び交う光景はないが、ソウルで行われる「ろうそくデモ」には地方の高校生が参加している。これは運動圏出身教員によって動員されているからだ。北の工作が続く限り、南での理念対立の解消は難しい。

(岩崎 哲)