【韓国紙】国家の未来を脅かす労組「民主労総」

2013年12月23日、記者会見で政権退陣運など今後の計画を発表する民主労総の幹部ら=韓国紙セゲイルボ提供
2013年12月23日、記者会見で政権退陣運など今後の計画を発表する民主労総の幹部ら=韓国紙セゲイルボ提供

組織局長らスパイ容疑で捜査

ヴィルヘルム・グロナウは西独最大労組のドイツ労働組合連盟で暗躍した代表的な東独スパイだ。1957年に会員数600万の同連盟に浸透した彼は議長秘書兼統一担当部署の責任者として働きながら工作活動を繰り広げた。

グロナウのスパイ活動は民主労総(全国民主労働組合総連盟)の元・現職幹部らが北朝鮮の指示によって反国家・利敵活動を行った疑惑で国家情報院と警察の捜査を受けている状況を想起させる。

民主労総の組織局長などが2016~19年に海外で北朝鮮の工作員から教育を受け、工作金を受け取った後、国内に三つの地下組織を結成して対政府闘争と親北反米デモを繰り返したというからあきれたことだ。正確な事実は捜査と裁判結果を見て分かるだろうが、民主労総の組織局長が労組幹部らを包摂して組合員約100万人の民主労総を親北反米組織に改造しようとした素地が十分にある。にもかかわらず南北関係を害するとして、5年間も捜査を妨げた文在寅政権の国情院首脳部の対応は容認し難い。

民主労総は「尹錫悦政権が無能と失政を隠すために国家保安法を前面に出して公安統治を復活させている」と反論するが、世論の共感は得られていない。スパイ容疑が具体的だから裁判所も押収捜索令状を出したのではないか。

防諜(ぼうちょう)当局の捜査は民主労総のこれまでの活動を見れば予告されたも同然だった。「在韓米軍撤収」「韓米同盟解体」「THAAD(高高度防衛)ミサイル配備撤回」「国家保安法撤廃」等々、民主労総の集会と声明・論評の常連メニューだ。北朝鮮の対南宣伝扇動スローガンをオウムのように繰り返して叫んでいるのだ。労働問題と全く関係ないイシューに、なぜこのように執着するのか底意が疑わしい。

このように民主労総は本来の機能である労働者の権利伸長より政治闘争に注力してきた。それは綱領にもはっきり現れている。「われわれは全世界労働者と連帯して国際労働運動の力量を強化して人権を伸長し、戦争と核兵器の脅威に対抗して恒久的な世界平和を実現する」という文句が代表的だ。労働団体が「なぜこんなことを」と疑問が湧く。

それでも綱領通りなら、世界最悪の人権蹂躙(じゅうりん)国で、韓国を相手に核兵器先制攻撃の威嚇をして世界平和を害する北朝鮮に批判的な立場を堅持しなければならないが、民主労総は沈黙したり、かばうのに忙しい。

その上、民主労総は不法デモと事業場の占拠、パワハラと暴力デモを行って労働改革の対象に転落した。国家経済が麻痺(まひ)しようがしまいが、不法のストライキとデモを行う旧態を抜け出せという国民の警告に耳を傾けなければならない。

政府が貨物連帯ストに強硬対応すると尹大統領の支持率が上がり、労働改革を年金・教育改革よりも早く推進すべきだとする世論が強い点を直視しなければならない。

民主労総は今からでも1980年代運動圏式の世界観を捨てて労組本来の姿に戻ることを望む。

(金煥基論説室長、2月7日付)