
対中ビザ発給制限を延長
中国で昨年12月7日、全面的な防疫緩和措置を施行した後、初めて迎える春節(旧正月)連休(21~27日)近くに訪れた北京首都国際空港は雰囲気が完全に変わっていた。基本的な保安検査さえ済ませれば入場が可能だったし、該当地域の健康宝(健康状態証明アプリ)を設置しなくてもすぐに航空券の発券が可能だった。
だが、相変わらず韓国と行き来することは簡単でない。中国入国時の巨大な障壁だった隔離措置は消えたが、今度は韓国が壁を作った。中国で感染者が急増すると韓国は1月2日から中国からの入国者対象のPCR検査陰性証明のほかに短期ビザの発給を制限した。
韓国政府は、「科学的根拠に従ったものであり、国民の健康と安全を最優先に考慮した決定」だと表明した。中国発の入国者に対する防疫措置を行っている約10カ国がPCR検査だけを維持していることを考えると、韓国だけが強い措置を講じているのだ。韓国は中国の感染者急増によって新しい変異株出現が懸念され、統計も信頼できないという理由を挙げた。
中国は韓国の措置に腹を立て韓国人を対象に短期ビザ発給を中断して対抗した。中国は自国の隔離措置は特定国家を対象にしておらず、なぜ感染力が強いXBB変異株が流行する米国でなく、中国だけを規制しているのかと主張した。
世界保健機関(WHO)等から透明な情報公開に対する指摘が続くと、中国は去る25日に死亡者、重症者などがピーク時より大きく減少し、新しい変異株の出現はないと相次いで発表した。
両国が平行線をたどって1カ月ほど経(た)った後、韓国は1月末までだった中国に対する短期ビザ発給制限措置を2月まで延長することにした。中国発の韓国入国者から変異株が発見されたという発表はなかったし、変異株が出ている米国などに対し追加的な規制措置もなかった。
とはいえ韓国で変異株が流行しているという発表もまたなかった。中国以外からの入国者には勧告に過ぎないPCR検査と隔離措置などを実施しているが、防疫には大きな問題は生じていないのだ。これを傍証するかのように国内で医療機関・薬局、交通手段、感染脆弱(ぜいじゃく)施設を除いた室内マスク着用義務を解除することにした。
それでも「国民の健康と安全最優先」を強調して中国に対するビザ発給制限措置を維持した。相反する措置を見ると、政府が強調してきた「科学的根拠」より政治的判断と感情が優先したのではないかという疑問を持たざるを得ない。国際外交の舞台で恥ずかしいことをたびたび起こしている現政権が防疫外交でもアマチュアのような姿を見せているようだ。
(イ・クィジョン北京特派員、1月30日付)



