【韓国紙】自動車の成否分ける“動くエンタメ”

【ポイント解説】EVで出遅れる日本を見つつ

日本は独自技術を世界に先駆けて開発しつつも、後発が別の世界基準を作り、後になって渋々日本がそれに合わせていくという回り道を強いられることが多い。

ビデオのベータマックス、ドコモのiモードなどが代表的な例だ。自ら世界基準を形成、リードできないのは“政治力”のなさなのか、技術に頼るあまり世界の趨勢(すうせい)を読むのに後れを取るからなのか。

ガラパゴス化と言われるが、これではまるで大陸の方が動いて行って、島が取り残される、というようにみえるが、世界市場では島に残った方が負ける。

世界の趨勢になりつつある電気自動車(EV)でも同じ回り道をしている。自家用ハイブリット車(HV)で世界を牽引(けんいん)していたが、既に将来ガソリン車の販売を打ち切る決定を下している国々が多い。これをみてトヨタもEVに取り組み出しているが、いかにも舵(かじ)を切るのが遅い。

2022年上半期の世界のEV販売台数で上位10社には「ルノー・日産・三菱」の1社が入るのみ。上位2社を米国が、続いて独1社、中国4社、韓国1社だ。ガソリン車を含む自動車全体では1位のトヨタはじめ日本勢は4社が入るが、EVだけでみるとトヨタ、ホンダはランク外。「日本勢の動きは数年ズレている」と言われている。

韓国の自動車メーカーもEVに参入するが、大市場の北米ではインフレ抑制法の壁が待っている。エンジン車では低価格で市場を広げてきたが、EV車では車本体よりも別の分野で勝機を見いだそうとしているようだ。それが車内でのエンターテインメント。しかしこの分野でも日本と競合する可能性が高い。エンタメコンテンツの制作では実績のある韓国がEVでも車内を席巻できるかどうか。

(岩崎 哲)