【韓国紙】経済危機対応のロードマップ作成を

【ポイント解説】“党争”で国滅ばないように

ウクライナ戦争で誘発されたエネルギー危機、中国の「ゼロコロナ政策」によるサプライチェーン(供給網)寸断などで世界経済が試練を受ける中、各国政府は難しい舵(かじ)取りを強いられている。

韓国は輸出に頼るだけに、受ける打撃は大きい。経済政策は焦眉の急であり、政官民が一丸となって難局に向かわなければならない時だ。厳しい状況に対応するために韓国政府は来年度予算の上半期執行目標を過去最高水準に引き上げることにした。会計開始日は1月2日、予算案は1カ月前の12月3日にようやく国会を通過した。続いて「23年度経済政策方向」が21日に発表され、「貿易金融を過去最大規模まで拡大するほか、企業の投資に対する税額控除率も引き上げる」という。

ぎりぎり滑り込んだ形だが、朴論説委員が憂慮するように与野党勢力が拮抗(きっこう)する国会では相変わらず足の引っ張り合いが繰り広げられた。李朝時代、理論理屈で党派に分裂し、互いに権力争いに明け暮れていた“伝統”は容易に変わるものではない。

今でも理念的な壁は高くそびえ、前政権が助長したそれが根深く残っている。経済政策に限らず、事あるごとに野党は政府与党を批判し足を引っ張る。「梨泰院圧死事故」の責任追及など、内紛に没頭するあまり、外交、防衛政策がそっちのけになることがしばしばだった。

尹錫悦政権になり外交安保政策は“正常軌道”に戻りつつあるが、格差と分断が拡大した国内をどうまとめていくか、決定打を繰り出せるわけではない。

さらに「不動産バブル崩壊」の足音も聞こえ、「金融不安指数が危険段階に入った」との観測も出ている。韓国政府は“本当の試練”を迎えそうだ。党争に明け暮れている暇はない。

(岩崎 哲)