保守派元老が野党代表を猛批判
だがこれが的外れな指摘であり趙氏は「まるでコメディー水準」と切って捨てる。さらに金議長の冷静な答弁(反論)を国会議事録から引用して、いかに李氏が滑稽な質問をしたかを曝(さら)した。
金議長は、合同訓練は米国の提案で行ったことで、「北朝鮮の核ミサイル脅威またSLBM(潜水艦発射弾道ミサイル)の脅威に対応するための訓練として計画された」と理由を説明した。北朝鮮のミサイル発射技術が高度化多様化している現実を李在明氏は認識していないのか、と問うニュアンスが伝わってくる。
そして「よりによって独島(竹島)近くで」という李氏の質問に対して金議長は、「近くとおっしゃるが独島(竹島)とは185キロ離れており、日本本土とは120キロ離れた所と認識しています。つまり日本本土により近い所で行った」と反論した。
趙甲済氏は日米韓の連携で最も大きな利益を得るのは韓国であることも強調している。北朝鮮のミサイルに対して、これを捉えるイージス艦は韓国には3隻しかない。もちろんカバー範囲は1000キロに及ぶが、多数を同時発射すれば全部を捉えることはできない。その際、日本が保有する14隻、米軍の数十隻が共同して対応することになる。
北朝鮮がSLBMを持ったことで対潜哨戒能力が問われるが、日本は世界一多い100機以上の対潜哨戒機を保有し、哨戒能力も高い。日本海の地形を熟知しているのも海上自衛隊だ。
韓国有事の際、日本にある七つの米軍基地は在韓米軍の後方司令部となり、日本の協力なしにはこれらの基地は機能しない。日本がいかに韓国防衛の役に立っているか、その現実を趙氏は強調している。
韓国には米国の支援で独立し、いまだに米軍が駐留していることへのコンプレックスがあるが、趙氏は北朝鮮こそソ連(当時)によってつくられた国で、韓国が引け目を感じることはないと強調する。
韓国の国防外交議論では常に国の“出自”を巡る論争が根底にあって、それが対日対米関係で韓国人の目を曇らせる。李在明氏の国会質問は逆に日本の重要さを浮き彫りにした格好になった。
(岩崎 哲)



