【韓国紙】中国、延辺のハングル優位を剥奪

【ポイント解説】文字表記の変化に敏感に反応

中国共産党政府の同化政策がついに朝鮮族にも及んできた。中国には55の少数民族がいるが、近年露骨に彼らの文化や言語を制限し、宗教も共産党管理下に置くなど、強制的に同化させようとする政策が国際社会から非難を浴びている。

チベット(約540万人)で仏教が弾圧され、漢族の大量移入と交差結婚により漢族化が進められたり、教育の場からチベット文字などが徐々に排除され、やがて文化が破壊される。同じようなことがウイグル(約840万人)や内モンゴル(約580万人)でも進行中だ。

同化政策はまず言語、文字の抹殺から始まる。吉林省延辺の朝鮮族自治州ではこれまでハングルが表示され漢字が併記されてきたが、これからは漢字を優先するという。単に表記の位置が変わっただけではない。この変化はその後の苛烈な同化政策のほんの予兆にすぎないのだ。韓国紙が敏感に反応したように、やがて朝鮮族もチベット、ウイグル、モンゴルと同じような道を辿(たど)ることが容易に想像される。

特に韓国が過敏になるのは、中国が進めてきた「東北工程」があるからだ。中国東北部に勃興した高句麗や渤海などといった王朝が「中国の地方政権」だったという解釈だ。これに韓国は「歴史歪曲(わいきょく)」と強く反発した。

さらにキムチは「包菜」が元祖だとか、北京冬季五輪開会式で少数民族の衣装として韓服が登場すると、韓国は「文化略奪」だとヒステリックに反応した。生まれた場所が吉林省龍井だったというだけで、ハングルで詩を詠んだ尹東柱を中国が自らの「民族詩人」としたのには、韓国人も怒りを通り越してあきれ果てた。

何ごとも自分が起源だと主張する「ウリジナル」意識の強い韓国だが、中国の元祖主張は自分たちがのみ込まれるほどの脅威と映る。日本人には分かりにくい感覚だが、文字制限に反応した韓国の危機感には注目してみる必要がある。

(岩崎 哲)