【韓国紙】30%台に落ちた尹大統領の支持率

【ポイント解説】“素人”大統領の限界を露呈

最初から指摘されていたことだった。尹錫悦大統領には「政治経験がない」ということである。人事は政治の要諦だ。これを間違えなければ、ことのほとんどは成ったと言える。政権交代して新政府が誕生し、政権が変わったことを最も強く印象付けるのが人事である。尹大統領はこの第一歩で躓(つまず)いた格好だ。

候補時代から政治素人という点が懸念されていた。これに対して陣営は「参謀、ブレインがいる」と打ち消していたが、人事の指南役はいなかったようだ。否、人事こそが権力者の力の源泉であるから、自薦他薦の嵐をかき分けて、最後は自分で決断することで権力基盤は固まる。しかし、その過程で十分に人の意見を聞いておかなければ、騒動の火種を残す。

ほとんどの新任大統領は人材は広く求め登用することを約束するが、守られたためしがない。尹大統領の人事も、蓋(ふた)を開けてみれば「検察人脈」ばかりが目立ち、しかも候補に挙げた人物にセクハラ疑惑があったりして、身体検査不足も指摘される。早速、素人ぶりを露呈させてしまった。

就任2カ月にして支持率が30%台になるというのも異例だ。もともと僅差、薄氷の勝利だった。大統領とともに与党の支持率も野党に越されてしまっている。政権運営に暗雲が漂う。この状態で尹政権が懸案に取り組めるのか大いに不安だ。

特に対日関係改善を呼び掛けている。韓国側から行動を起こしたポーズをとっているが、いつまでその姿勢を保てるか。わずかでも「妥協」「譲歩」と見咎(とが)められれば、尹政権は関係改善姿勢を維持できず、日韓関係はまた振り出しに戻る可能性もある。

まずは法治よりも、人の声を聞く「政治」をせよと論説は訴える。いまから「いろはのい」を尹大統領は学ばねばならないようだ。

(岩崎 哲)