【ポイント解説】きめ細かな対日アプローチ
安倍元首相の死は韓国にも衝撃を与えている。日本国民が安倍氏の死を悼む姿と、その前の参院選自民圧勝をみて、しばらく日韓関係は動かないと専門家は判断したようだ。
日本では“黄金の3年”が既定のものとの前提で政治が語られる傾向があるが、この3年の間に、自民党総裁任期が来る点に着目した視点は新鮮だ。“保守の象徴”であり、党内最大派閥の長が不在となった保守政界が次の求心点を求めて流動化していることを見逃さないのもさすがである。そして、韓国政府にきめ細かな対日アプローチをとることが必要だと説いている。
それならば、ぜひ韓国は日本を虚心坦懐に眺めることを願いたい。歴史に「もし」はなく、既に亡き人になってしまったが、安倍元首相は韓国がアプローチを間違わなければ、最も良き理解者、協力者になったはずだ。
安倍氏が「美しい日本」「日本を取り戻す」と言った時に、「極右政治家」とレッテルを貼って遠ざけ「敵」に回してしまったのは韓国だ。確かに憲法改正し、自衛隊を国軍にするとなれば、歴史的経緯から身構えるのは理解できるが、戦後70年以上、日本は平和国家として実績を積んできたことは無視された。
また、日本は多様な意見があり、常にチェック機能が働いている国であることも理解されていないようだ。
韓国は地政学的位置から常に周辺強大国の影響を受ける。端的に言えば中国と日本だ。近現代史はそれをよく示している。この時、韓国が手を結ぶべきは、民主主義、自由主義経済体制をとる日本であることは明白だ。共産主義、一党独裁、人権弾圧の中国ではありえない。経済的に対中依存を高めるのが避けられないなら、同じ価値を持つ国々が結束し軸足をしっかり据えて、中国との付き合いをすることが肝要で、中国の分断工作に乗ってはならない。
絡みに絡んだ日韓関係は一つ一つ糸を解いていかなければならない。「一括妥結」方式が両国に禍根を残してきた。その反省の上にきめ細かなアプローチが取られることが願われる。
(岩崎 哲)



