【韓国紙】次に米中の“弱い輪”になり得る韓国

【ポイント解説】中国報復への備えはあるのか?

米国と中国の間で、尹錫悦政権は腹をくくった。対中包囲網であるIPEFに韓国も参加することを決めたのだ。この決断が熟慮の上で、対応策も用意しつつ決められたのなら中国からの衝撃波に耐えることもできるだろう。だが、誕生したばかりの政府に具体的な対策があるのか。メディアはまだ掴(つか)んでいないし、それが実際にあるのかも不明だ。

記事からはそうした不安が伝わってくる。対中服従、対中委縮の遺伝子をねじ伏せて、民主主義、資本主義経済という「価値を共有」して、強権独裁主義に対抗できるのか、国民の間でもコンセンサスはできていない。

2016年の高高度防衛ミサイル(THAAD)配備を切っ掛けとして中国の“韓国いじめ”ともいえる「限韓令」が発せられ、韓国は散々な目に遭わされた。土地を提供したというだけでロッテは中国での店舗を失ったし、韓国が誇るKPOPも映画も締め出された。明洞を埋めた中国人観光客は潮が引くようにいなくなった。

同じ轍は踏まない。限韓令第2波への備えはあって当然のはずだが…、といくら強調してみたところで、方針を出すのは政府だ。

一方で局面は完全に変わっている。コロナ禍とロシアのウクライナ侵攻で世界のサプライチェーンは再構築を余儀なくされている。韓国も中国依存度の軽減、貿易先の多角化等々、中国との付き合い方を根本から変える必要がある。

だが、韓国が太平洋の沖に流されていくのを中国が黙って見ているとは考えられない。韓国は“弱い輪”なのだ。対中包囲網切り崩しの突破口にするなら、硬軟取り混ぜて攻勢を仕掛けてくる。だからこそ日米との強固な関係を再構築しておかなければならないわけだ。

(岩崎 哲)