欧州・ロシア
ロシア産石油禁輸 中国利する可能性 EU通商トップが指摘
欧州連合(EU)が先月末、ロシア産石油の輸入を年末までに最大90%禁止する方針を決めたことについて、EUの執行機関・欧州委員会のドムブロフスキス上級副委員長(通商担当)が1日、中国を利する可能性が高いとの見解を示した。EUの制裁強化によって、石油の新たな販売先を見つける必要に迫られたロシアの弱みを中国が利用するとの見方だ。
【上昇気流】(2022年6月3日)
英国でエリザベス女王の即位70年を祝う「プラチナ・ジュビリー」が始まった。テレビ中継からも祝賀ムードが伝わってくる。盛大なパレードには参加しなかったが、バッキンガム宮殿のバルコニーからお祝いの群衆に笑顔で応える女王の矍鑠(かくしゃく)とした様子は、96歳とは思えない。
ロシア産石油禁輸で例外含め合意
ブリュッセルで開催された欧州連合(EU)臨時首脳会議は30日、対露追加経済制裁の一つとしてロシア産石油の輸入禁止で合意した。同時にロシア産への依存度の高いハンガリーが強く反対したため、当面は陸上パイプライン経由の分を禁輸対象から除外し、海上輸送分のみとする妥協策となった。ロシア産石油最大の輸入地域である欧州は、年内に約9割の輸入削減を目指す。
ゼレンスキー氏と対話を 仏独首脳、露大統領と電話会談
フランスのマクロン大統領とドイツのショルツ首相は28日、ロシアのプーチン大統領と電話会談を行い、ウクライナのゼレンスキー大統領との「真剣な直接対話」を強く促した。また、世界的な食料価格の高騰を抑えるため、ウクライナの穀物を出荷できるよう、南部の主要港オデッサの封鎖解除を求めた。
イスラエル国防相、米首都訪問 対イランで緊密な協力必要
イスラエルのガンツ国防相は19日、米首都ワシントンを訪問し、サリバン大統領補佐官(国家安全保障担当)やオースティン国防長官と会談した。イランの核開発問題やイスラエルの安全保障上の課題などが話し合われた。米国は毎年、イスラエルに巨額の軍事支援を行っており、今年イスラエルは48億㌦(約6120億円)の支援を受けた。
中露への依存に警鐘、ダボス会議 NATO事務総長「国益より価値観を」
北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は24日、スイス・ダボスの世界経済フォーラム(通称、ダボス会議)で演説し、ウクライナでの戦争は、各国の国益よりも価値観を優先する必要があることを浮き彫りにしたと警告した。同氏は「権威主義体制が経済関係にどのように脆弱(ぜいじゃく)性を生み出す可能性があるか」を示したと指摘した。
問われるNATOの役割 北欧2カ国加盟にトルコ反対
ロシアのウクライナへの軍事侵攻が長期化する中、直接ウクライナを軍事支援できない北大西洋条約機構(NATO)の葛藤が続いている。ロシアが東西冷戦後の欧州安全保障の枠組みに決定的影響を与える中、北欧2カ国が軍事的中立を捨ててNATO加盟を目指すことでNATOの役割が改めて問われている
外相にコロナ駐英大使―フランス
フランスの第2次マクロン政権の新閣僚が20日、エリザベット・ボルヌ新首相の提案を基に大統領が任命したリストが発表された。政府のナンバー2としてルメール経済・財務相が、内相にはダルマナン氏が留任した。首相を除く全27人の閣僚のうち5人の残留閣僚が別の省を担当し、平均年齢は48歳と史上最も若く、男女の割合は女性のボルヌ首相を含め男女同数となった。
北欧2国の加盟申請受理
北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長は18日、北欧のフィンランドとスウェーデンからのNATO加盟申請書を同時受理した。ブリュッセルのNATO本部に駐在する両国大使が同事務総長に手渡した。両国は長期にわたり保ってきた軍事的中立をロシアによるウクライナ侵攻を受け、歴史的転換に踏み切った。
春はスイーツの季節 フィンランドから
5月1日はいわゆるメーデーだったが、フィンランドでは「バップ」(vappu)と呼ばれ、春の到来を祝う日でもある。今年はコロナ禍の規制が解除されたこともあり、「バップ」前夜祭の4月30日の夕方には、街頭に多くの人があふれた。
プーチン露大統領の戦勝日演説 「総動員令」「戦争宣言」は無し
ロシアのプーチン大統領は5月9日、第2次世界大戦での独ソ戦勝利を祝う戦勝記念日式典で演説を行った。「ウクライナ侵攻の正当性」を強調する一方で、一部で指摘されていた「総動員令」や「戦争宣言」については言及しなかった。増加するロシア軍戦死者の実態が国民の目に明らかになったとき、「総動員令」により武器を手にした国民の不満が政権に向かうことを恐れた、との見方もある。
芸術もロシアの標的に フランスから
フランスは、ロシア軍のウクライナ侵攻で美術館が脅威にさらされていることを受け、ウクライナの美術・文化研究者を支援している。研究者たちがフランスに避難し、研究を安心して継続できるよう国を挙げて支えていく構えだ。
ウクライナ侵攻は「価値観の戦い」 ロシア正教トップ プーチン氏を全面擁護
ローマ・カトリック教会のフランシスコ教皇とロシア正教の最高指導者モスクワ総主教キリル1世との関係が悪化、教皇はキリル1世との対面会談を断念した。ロシアのプーチン大統領が始めたウクライナ侵攻に対する評価が正反対になっていることが鮮明になってきたからだ。
【社説】プーチン氏演説 断じて容認できぬ侵略正当化
ロシアのプーチン大統領は旧ソ連による対ドイツ戦勝記念日の9日に演説し、ウクライナ侵略についてクリミア半島への「侵略」や隣国の核保有を阻止する先制攻撃だと正当化した。しかし、他国を蹂躙(じゅうりん)し無辜(むこ)の民間人を虐殺しているのはロシアの方である。侵略を正当化することは断じて容認できない。
【上昇気流】(2022年5月10日)
対独戦勝記念日の演説でロシアのプーチン大統領が、ウクライナでの「特別軍事作戦」を「戦争状態」と宣言するのではないかとの観測があった。しかし演説では、ウクライナ侵攻を正当化したものの、戦争宣言はなかった。
【上昇気流】(2022年5月5日)
ウクライナ東部のドンバス地方では、支配拡大を目指すロシア軍とウクライナ軍との激しい攻防が続いて膠着(こうちゃく)状態にある。ロシア軍の作戦に遅れが生じているとの分析もある。
危機対応で重要な政策論 【ウクライナ危機 識者に聞く】
日本人が危機慣れしていないことを痛感している。危機対応の精神力、あるいは危機対応の際の思考方法がないとの印象を強くした。危機とは何か、危機を防ぐための準備は何か、危機がそれでも起こった時の対応姿勢とは何かについて、根本的に考えを整理しておく。さらに、具体的に起こり得る危機のパターンを洗い直し、いろいろなシナリオ、オプションを平時から念頭に置いておく作業があまりなされていない。
共に勝利なき戦争 長期化も 【ウクライナ危機 識者に聞く】
現在、東部地域で一つのヤマ、天王山的な戦闘が起こっている。この戦闘の行方が早期に見えてきた場合には、かなり大きな事情変更になる。今回の侵略戦争について、おおむね軍事専門家はウクライナの敗北不可避と言い、歴史家はロシアの敗北不可避だと言っている。私は両方とも正しいと思っている。
国連の戦争抑止“首の皮一枚”に 【ウクライナ危機 識者に聞く】
ここまであからさまに主権国家が別の主権国家に侵略行為を行う国際法違反が行われたことは極めてまれだ。1945年に国際連合憲章体制ができてから戦争がなくなったことはないが、ほとんどの戦争は主権国家同士の戦争ではない。
マクロン氏再選も課題山積―フランス
大統領選が終わったフランスは、次は6月の国民議会(下院)選挙を控えている。大統領選を含め、フランスの政治状況は大きなターニングポイントを迎えている。大統領選で保革大政党が大敗したことは一時代の終わりを感じさせた。失業、移民、治安、景気回復という30年以上抱え込んだテーマに対して、仏国民は政治にどんな期待を持っているのだろうか。



